異をとなえん |

朝鮮半島戦争確率40%

2010.05.26 Wed

21:23:23

朝鮮半島の情勢が緊迫している。
李明博大統領が哨戒艇の沈没を北朝鮮の潜水艦攻撃だと断定したことで、朝鮮半島は戦闘の危険につつまれることになった。
朝鮮半島がどうなるか、未来展望について書いてみたい。

まず、北朝鮮による潜水艦攻撃は意外ではなかった。
前の分析でも書いているように、北朝鮮の行動原理はヤクザそのものである。
韓国の李明博政権は前の北朝鮮に融和的な政権と違って、反北朝鮮的な姿勢を取っている。
北朝鮮は核実験やら、開城での操業にケチをつけるやら、金剛山観光を停止するなど、韓国に脅しをかけているのに、李明博政権は依然として、金を払おうとしない。
北朝鮮としては、いつまでも舐められているのが我慢できなくなり、潜水艦による魚雷攻撃という荒っぽい行動に出たのだろう。
みかじめ料を払わない店に本格的ないやがらせに出てきたわけだ。
北朝鮮は、全面戦争自体は勝ち目がないことを意識しているだろうけれど、他の国が手を出しづらいことは意識している。
韓国は戦争時の被害、戦費自体、北朝鮮自体が崩壊した場合の再開発費用などを考えると北朝鮮と戦争しにくい。
だから、全面戦争にならないように脅している。

今回の潜水艦攻撃は北朝鮮の意図に十分かなっている。
北朝鮮の攻撃が直ちに判明すると、韓国は報復せざるを得ない意味がある。
敵国に国民が攻撃されて黙っているわけにはいかない。
そこで直ちに報復すると双方がエスカレートし合って、全面戦争に発展する危険性がある。
沈没から原因が確定するまで一ヶ月以上かかると、一時の怒りから攻撃を仕掛けるわけにはいかない。
韓国は国連安全保障理事会に制裁決議を依頼することで、当面は矛を収めた。
しかし、これはある意味北朝鮮の思うつぼなのである。
実際に手を出させないで、危機を高めるのは脅しにとって、もっとも都合がいい。
金正日は戦闘準備を支持し、国連の制裁行為も戦争の宣言だと、口先の脅しを強めている。
本気に戦争をする気はなくとも、戦闘行為が準備されれば韓国にとっては大きな負担だ。

では今後の情勢はどうなるだろうか。
まず、今回の危機は金正日が起こしたものだ。
何らかの金を引き出さなければ、矛を収める気はない。
韓国にとって極めて重要なイベント、金融サミットが11月にある。
それに合わせて危機を段階的に高めていくだろう。
今まで北朝鮮の脅しはほぼ成功してきた。
だから、今回も成功するだろうと考えて自ら手を引く気は絶対にないはずだ。

それに対して、韓国の対応はもう少し異なってくる。
まず、国の面子、国民感情はどうあれ、韓国政府は金を払って事態を収束させる可能性がある。
G20金融サミットの韓国開催は韓国にとって、極めて重要だ。
国の威信の面子がかかる。
絶対に成功させたいはずだ。
しかし、北朝鮮との軍事的緊張関係が続けば、開催は大変困難になる。
強行開催したくとも、北朝鮮との緊張関係が最高度に高まっている時には、大統領自体が北朝鮮との対応に追われることだろう。
ホスト役など、とうていやってられない。
そう考えると辞退せざるを得ない。
それを避けようと思えば、北朝鮮となんらかの妥協をして、つまりある程度の金を払って、今回の事態を収拾するしかない。
この可能性はあると思うのだが、まず問題はどう収拾するかだ。
韓国軍人が殺されたのに、それに金を払うというのは、国民感情的にはとうてい認められるものではない。
中国経由で資金を回して、つまり事態の仲裁を中国に依頼して、その解決料を支払う型だろう。
その解決料は援助と名前を変えて北朝鮮に流れるわけだ。
この解決はないことはないが、難しい。
どんな理屈をつけた所でヤクザにみかじめ料を払って、手を引いてもらうに過ぎない。
国の指導者としては避けたいだろう。
ヤクザの脅しには屈っさない姿勢を示したい。

それでは、韓国が北朝鮮に対して全面戦争を仕掛けるのはどうだろうか。
韓国が北朝鮮に対して軍事的優位に立っていることは確実と見られる。
北朝鮮はガソリンの補給すらもままならない状態と聞く。
北朝鮮国民が貧しく、デノミ政策などでますます政権から離反していることも確実だ。
攻撃すれば長くは持たないだろう。
しかし、気になる問題が幾つかある。

まず第一に北朝鮮の攻撃から生じる被害だ。
ソウルが前線からの砲撃の射程距離にあることを考えると、ある程度の被害はやむを得ない。
それがどの程度になるのか。
韓国側がから仕掛けることを前提にすれば、ある程度被害は局限できる。
避難していれば人的被害は最小限だろう。
物的被害のことは頭が痛いだろうが、これで問題が解決すると思えば我慢できる。
そういう意味で覚悟さえすれば解決できる問題だ。

より重要な問題は中国だ。
中国は何と言っても、北朝鮮と友好条約を結んでいる。
この条約では、どちららが他国から攻撃された時には、無条件の全面支援を約束しているのだ。
最近、この条約は有名無実化している話もあるが実際のところはわからない。
朝鮮戦争の時にも、誰も中国が介入すると考えていなかったのに介入してきた。
今回だって介入する可能性はある。
介入しなければ、中国の約束は信頼できないと多くの国が思うだろう。
その威信低下自体も嫌なはずだ。
また、北朝鮮の山河は中国人の血で資本主義者から防衛したというのが、中国軍人の考えのはずだ。
中国軍部は北朝鮮と独自にパイプを持っていると考えられる。
軍が条約をたてに介入を主張した場合、これはどう考えても正論なのだが、中国指導部が抑えられるか難しい。
中国が介入してきたら状況は不透明になる。
そもそも通常戦で韓米連合軍は中国に勝てるのか。
中国との経済関係はどうなるのか。
外野からはいい加減に予想できても、李明博大統領にとっては容易に解決できる問題ではない。

それから戦後の復興処理の問題がある。
ドイツ統一よりもずっと金がかかるだろう。
韓国にとっては大いに負担になるはずだ。
もっとも、いつかは朝鮮統一を果たさなければならないとしたら、時期の問題だけだとも言える。
覚悟を決めれば解決できる問題だ。

韓国から北朝鮮に戦争を仕掛ける可能性はある。
けれども、困難な問題はいくつかある。
そして、ヤクザに脅されたからと言って、ヤクザの組に殴り込みに行くのはおかしい。
警察に保護を依頼するのが普通だ。
そうすると、国連安保理に提訴して、解決を待つというのが一番普通の対応となるだろう。

国連安保理の対応を考える前に主要国の対応を考えておこう。

まず、我らが日本だが基本的には韓国に追随するだろう。
クリントン大統領の時、アメリカと朝鮮との間で戦争寸前になったことがあった。
その時、日本と韓国は戦争に反対していた。
その頃は拉致問題も重大視されなかったので、あえて戦争を起こしてまで解決する問題はなかった。
そうすると、戦争自体で被害を及ぶ可能性や、戦後の復興資金などで、日本が要求される資金のことなどを考えると、戦争に慎重になるのも当然と言えた。
現在は違う。
核問題、ミサイル問題と北朝鮮は日本の脅威になっている。
多額の開発費がかかっているMD構想も、このためといえる。
拉致問題は解決しなければならない負担がずっとのしかかっている。
金正日政権が崩壊すれば、それらの問題は解決する。
そういう意味で日本はある程度戦費を持っても、韓国による北朝鮮との戦争を支持するだろう。
しかし、実際の戦闘を援助する気はない。
そういう意味で当事国から見れば、実質的には無視されることになるだろう。

ロシアも日本と同じだ。
口ではいろいろな事を言ってくるだろうけれど、実際の行動に出ることはない。
北朝鮮との経済活動も、もうあまり活発ではない。
国連安保理では何らかのアメをしゃぶらせておけば、特に文句もはさまないだろう。
日本と同じで無視していい。

アメリカはどうだろうか。
アメリカは世界で手一杯ともいえる。
イラク、アフガニスタンと軍事紛争を抱えている所で朝鮮半島で事を起こすことは難しい。
けれども、戦費自体は韓国、日本で大半は持ってくれるはずだ。
北朝鮮自体も核兵器やミサイルの販売を計っていて、アメリカにとっては気にいらないというか、積極的に政権を打破したい国のはずだ。
そういうことを考えると、韓国支持が基本だろう。
韓国が腹をくくれば、戦争にも協力すると思う。
中国が介入してくると、第三次世界大戦の始まりとも言えそうだが、核兵器を使わなければ互いに許容範囲だろう。
米中対戦なんかがあったら、世界経済がぐちゃぐちゃになりそうだけど、先が読めなすぎて気にできない。

中国の態度が一番わかりにくい。
中国はこの前の北朝鮮に対する制裁では賛成し、ある程度の圧力をかけることを認めた。
六ヶ国協議でも北朝鮮に単純に同意することなく、会議をまとめようとしている。
けれども、北朝鮮が言うことを聞かずとも、積極的に制裁をかけることはない。
石油の輸出停止などを実行すれば、北朝鮮は従うしかないように思われる。
これらのはっきりしない態度は中国が今のままの状態が一番いいと思っていることの表れだ。
中国は北朝鮮が日米韓に迷惑をかけて、その仲裁役をかっているのが有利だとみている。
実際六ヶ国協議の主催者だということは、中国にとっての国際的地位の向上になっている。
このあいまいなままの状態が続けば一番良くても、北朝鮮の暴走がそれを許さなくしている。
中国は判断を迫られているはずだが、北朝鮮との過去のしがらみから何もできないというのが実態だ。
私の考えでは、韓国が北朝鮮に戦争を仕掛ければ、口では批判するが、実際は何もしないと見ている。

それでは国連安保理の討議がどうなるか見てみよう。
中国が今のままの状態が一番いいということは、中国の時間稼ぎに終始することになりそうだ。
とにかく中国の調査団の派遣を認めさせ、何やかやと時間を稼ぐ。
自作自演説を持ち出せば時間など幾らでも稼げる。
その間に事態の緊張が緩和するのを待つのだ。
ただ、これは難しい。
仕掛けているのは、最初に述べたように北朝鮮だ。
韓国が屈伏しなければ新たな挑発を開始する。
対立はエスカレートするしかないように見える。

局面の打開は中国が北朝鮮の行動に手綱をつけて、積極的にコントロールすることにあるだろう。
北朝鮮の行動に軍事上の援助をしないという表明だけでも、北朝鮮の暴走を抑える効果がある。
しかし、今までの行動から何もしないように見え、結局対立はそのまま続くことになる。

今までの分析から今後どうなるかの確立を考えてみよう。
ケース1、韓国が屈伏する。
20%ぐらいか。
ケース2、韓国と北朝鮮が一触即発のまま対峙し、年内に戦争状態に入る。
40%ぐらい。
ケース3、韓国と北朝鮮が一触即発のまま対峙し、そのまま年を越える。
40%ぐらい。

思った以上に、戦争確率が高かった。
つまり、韓国、北朝鮮とも戦争自体は避けたいが、後に引くことはできない。
顔を突き合わせ一触即発の状態が当分続いていく。
こうなる確率が一番高く、そうすると偶発的な衝突を両方止めることができず、戦争になるということだろう。
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