異をとなえん |

続・朝鮮半島戦争確率40%

2010.05.27 Thu

20:19:37

昨日の記事で、なぜ戦争が起こるかの理屈を書き残したような気がしたので、少し追加しておく。

昨日の記事では、韓国と北朝鮮が緊張感を保ったまま、対立を続けていくのを一番ありうる状況とした。
「ミンボーの女」において企業とヤクザが全面対峙している状況だ。

この状態で、理屈では毅然とした態度を続けていれば、ヤクザは手を出せない。
手を出せば警察に捕まり、恐喝は割の合わない事業になってしまうからだ。
しかし、世の中は理屈通りにいかない。
宮本信子演じる弁護士が刺されるように、感情的に手を出すことは幾らでもありえるのだ。
今回の北朝鮮の脅迫も本気で手を出さない、戦争にするつもりはないと、多くの人が考えている。
けれども、戦争にする気はなくとも、潜水艦の攻撃のように人を殺すことなどは平気だ。
国民を殺されて黙っている国はない。
韓国側は怒りが高まっていく。
北朝鮮の脅しは「ソウルを火の海にする」という発言が基本だ。
脅しがエスカレートすれば、本気で攻撃されたらという恐怖が先に立ってくる。
その恐怖に耐えかねて、韓国がソウルを狙っている火砲を先に攻撃すれば、もう戦争は止まらない。

第一次世界大戦も戦争を起こす意思を持っている国はなかった。
けれども、偶発的事件から止めることなく戦争まで突き進んでいった。
戦争を積極的にしたい国はなくとも、絶対にしないと考えている国はなかった。
今回も同じだ。
戦争を積極的にしたい国はない。
けれども、状況次第では戦争を認める国がほとんどだ。
それでは戦争を止めることはできない。
緊張状態が続けば戦闘になる危険性はかなり高い。
日本も戦争にならないなどと、油断している場合ではない。

**
もう一つ指摘しておきたいのは、今回の事件が北朝鮮の軍部の暴走などという意見だ。
こんなのは信が置けない。
よくある古典的なパターンなのだ。

一番よくあるのは、いい警官と悪い警官のパターンだ。
悪い警官が犯人に対して、こいつが犯人に決まっていると強行に主張して、今にも殺そうとする。
いい警官が悪い警官をなんとかなだめて、今自白すれば助かると犯人にいう。
犯人はいい警官のことを信じて、自白する。
もちろん、二人の警官は最初からグルだ。

今回の北朝鮮の軍部の暴走などという意見もそれと同じだ。
軍部の暴走だからどうするというのか。
穏健派がいるから、彼らの顔を立てろというのか。
それは彼らの罠に単純にはまるだけだ。
彼らは一体であり、分けて対応してはいけない。
第一強硬派と穏健派の名前すらも出てきていない。
そんな物に関わりあってはいけない。

そして、この理屈は北朝鮮と中国にもいえる。
口先はどうであれ、両国は実質グルであると考えなくてはいけない。
中国に金を渡すことは、北朝鮮に金を渡すことだ。
今後中国が仲裁案をいろいろと出してくることだろう。
けれども、現行の核放棄の過程にある以外の資金を出してはいけない。
中国の監視付きなどという理由をつけてもだ。
どんな形でも金を出すことは、北朝鮮の脅しに屈っしたことになる。
それだけは絶対に避けなくてはいけない。
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朝鮮半島戦争確率40%

2010.05.26 Wed

21:23:23

朝鮮半島の情勢が緊迫している。
李明博大統領が哨戒艇の沈没を北朝鮮の潜水艦攻撃だと断定したことで、朝鮮半島は戦闘の危険につつまれることになった。
朝鮮半島がどうなるか、未来展望について書いてみたい。

まず、北朝鮮による潜水艦攻撃は意外ではなかった。
前の分析でも書いているように、北朝鮮の行動原理はヤクザそのものである。
韓国の李明博政権は前の北朝鮮に融和的な政権と違って、反北朝鮮的な姿勢を取っている。
北朝鮮は核実験やら、開城での操業にケチをつけるやら、金剛山観光を停止するなど、韓国に脅しをかけているのに、李明博政権は依然として、金を払おうとしない。
北朝鮮としては、いつまでも舐められているのが我慢できなくなり、潜水艦による魚雷攻撃という荒っぽい行動に出たのだろう。
みかじめ料を払わない店に本格的ないやがらせに出てきたわけだ。
北朝鮮は、全面戦争自体は勝ち目がないことを意識しているだろうけれど、他の国が手を出しづらいことは意識している。
韓国は戦争時の被害、戦費自体、北朝鮮自体が崩壊した場合の再開発費用などを考えると北朝鮮と戦争しにくい。
だから、全面戦争にならないように脅している。

今回の潜水艦攻撃は北朝鮮の意図に十分かなっている。
北朝鮮の攻撃が直ちに判明すると、韓国は報復せざるを得ない意味がある。
敵国に国民が攻撃されて黙っているわけにはいかない。
そこで直ちに報復すると双方がエスカレートし合って、全面戦争に発展する危険性がある。
沈没から原因が確定するまで一ヶ月以上かかると、一時の怒りから攻撃を仕掛けるわけにはいかない。
韓国は国連安全保障理事会に制裁決議を依頼することで、当面は矛を収めた。
しかし、これはある意味北朝鮮の思うつぼなのである。
実際に手を出させないで、危機を高めるのは脅しにとって、もっとも都合がいい。
金正日は戦闘準備を支持し、国連の制裁行為も戦争の宣言だと、口先の脅しを強めている。
本気に戦争をする気はなくとも、戦闘行為が準備されれば韓国にとっては大きな負担だ。

では今後の情勢はどうなるだろうか。
まず、今回の危機は金正日が起こしたものだ。
何らかの金を引き出さなければ、矛を収める気はない。
韓国にとって極めて重要なイベント、金融サミットが11月にある。
それに合わせて危機を段階的に高めていくだろう。
今まで北朝鮮の脅しはほぼ成功してきた。
だから、今回も成功するだろうと考えて自ら手を引く気は絶対にないはずだ。

それに対して、韓国の対応はもう少し異なってくる。
まず、国の面子、国民感情はどうあれ、韓国政府は金を払って事態を収束させる可能性がある。
G20金融サミットの韓国開催は韓国にとって、極めて重要だ。
国の威信の面子がかかる。
絶対に成功させたいはずだ。
しかし、北朝鮮との軍事的緊張関係が続けば、開催は大変困難になる。
強行開催したくとも、北朝鮮との緊張関係が最高度に高まっている時には、大統領自体が北朝鮮との対応に追われることだろう。
ホスト役など、とうていやってられない。
そう考えると辞退せざるを得ない。
それを避けようと思えば、北朝鮮となんらかの妥協をして、つまりある程度の金を払って、今回の事態を収拾するしかない。
この可能性はあると思うのだが、まず問題はどう収拾するかだ。
韓国軍人が殺されたのに、それに金を払うというのは、国民感情的にはとうてい認められるものではない。
中国経由で資金を回して、つまり事態の仲裁を中国に依頼して、その解決料を支払う型だろう。
その解決料は援助と名前を変えて北朝鮮に流れるわけだ。
この解決はないことはないが、難しい。
どんな理屈をつけた所でヤクザにみかじめ料を払って、手を引いてもらうに過ぎない。
国の指導者としては避けたいだろう。
ヤクザの脅しには屈っさない姿勢を示したい。

それでは、韓国が北朝鮮に対して全面戦争を仕掛けるのはどうだろうか。
韓国が北朝鮮に対して軍事的優位に立っていることは確実と見られる。
北朝鮮はガソリンの補給すらもままならない状態と聞く。
北朝鮮国民が貧しく、デノミ政策などでますます政権から離反していることも確実だ。
攻撃すれば長くは持たないだろう。
しかし、気になる問題が幾つかある。

まず第一に北朝鮮の攻撃から生じる被害だ。
ソウルが前線からの砲撃の射程距離にあることを考えると、ある程度の被害はやむを得ない。
それがどの程度になるのか。
韓国側がから仕掛けることを前提にすれば、ある程度被害は局限できる。
避難していれば人的被害は最小限だろう。
物的被害のことは頭が痛いだろうが、これで問題が解決すると思えば我慢できる。
そういう意味で覚悟さえすれば解決できる問題だ。

より重要な問題は中国だ。
中国は何と言っても、北朝鮮と友好条約を結んでいる。
この条約では、どちららが他国から攻撃された時には、無条件の全面支援を約束しているのだ。
最近、この条約は有名無実化している話もあるが実際のところはわからない。
朝鮮戦争の時にも、誰も中国が介入すると考えていなかったのに介入してきた。
今回だって介入する可能性はある。
介入しなければ、中国の約束は信頼できないと多くの国が思うだろう。
その威信低下自体も嫌なはずだ。
また、北朝鮮の山河は中国人の血で資本主義者から防衛したというのが、中国軍人の考えのはずだ。
中国軍部は北朝鮮と独自にパイプを持っていると考えられる。
軍が条約をたてに介入を主張した場合、これはどう考えても正論なのだが、中国指導部が抑えられるか難しい。
中国が介入してきたら状況は不透明になる。
そもそも通常戦で韓米連合軍は中国に勝てるのか。
中国との経済関係はどうなるのか。
外野からはいい加減に予想できても、李明博大統領にとっては容易に解決できる問題ではない。

それから戦後の復興処理の問題がある。
ドイツ統一よりもずっと金がかかるだろう。
韓国にとっては大いに負担になるはずだ。
もっとも、いつかは朝鮮統一を果たさなければならないとしたら、時期の問題だけだとも言える。
覚悟を決めれば解決できる問題だ。

韓国から北朝鮮に戦争を仕掛ける可能性はある。
けれども、困難な問題はいくつかある。
そして、ヤクザに脅されたからと言って、ヤクザの組に殴り込みに行くのはおかしい。
警察に保護を依頼するのが普通だ。
そうすると、国連安保理に提訴して、解決を待つというのが一番普通の対応となるだろう。

国連安保理の対応を考える前に主要国の対応を考えておこう。

まず、我らが日本だが基本的には韓国に追随するだろう。
クリントン大統領の時、アメリカと朝鮮との間で戦争寸前になったことがあった。
その時、日本と韓国は戦争に反対していた。
その頃は拉致問題も重大視されなかったので、あえて戦争を起こしてまで解決する問題はなかった。
そうすると、戦争自体で被害を及ぶ可能性や、戦後の復興資金などで、日本が要求される資金のことなどを考えると、戦争に慎重になるのも当然と言えた。
現在は違う。
核問題、ミサイル問題と北朝鮮は日本の脅威になっている。
多額の開発費がかかっているMD構想も、このためといえる。
拉致問題は解決しなければならない負担がずっとのしかかっている。
金正日政権が崩壊すれば、それらの問題は解決する。
そういう意味で日本はある程度戦費を持っても、韓国による北朝鮮との戦争を支持するだろう。
しかし、実際の戦闘を援助する気はない。
そういう意味で当事国から見れば、実質的には無視されることになるだろう。

ロシアも日本と同じだ。
口ではいろいろな事を言ってくるだろうけれど、実際の行動に出ることはない。
北朝鮮との経済活動も、もうあまり活発ではない。
国連安保理では何らかのアメをしゃぶらせておけば、特に文句もはさまないだろう。
日本と同じで無視していい。

アメリカはどうだろうか。
アメリカは世界で手一杯ともいえる。
イラク、アフガニスタンと軍事紛争を抱えている所で朝鮮半島で事を起こすことは難しい。
けれども、戦費自体は韓国、日本で大半は持ってくれるはずだ。
北朝鮮自体も核兵器やミサイルの販売を計っていて、アメリカにとっては気にいらないというか、積極的に政権を打破したい国のはずだ。
そういうことを考えると、韓国支持が基本だろう。
韓国が腹をくくれば、戦争にも協力すると思う。
中国が介入してくると、第三次世界大戦の始まりとも言えそうだが、核兵器を使わなければ互いに許容範囲だろう。
米中対戦なんかがあったら、世界経済がぐちゃぐちゃになりそうだけど、先が読めなすぎて気にできない。

中国の態度が一番わかりにくい。
中国はこの前の北朝鮮に対する制裁では賛成し、ある程度の圧力をかけることを認めた。
六ヶ国協議でも北朝鮮に単純に同意することなく、会議をまとめようとしている。
けれども、北朝鮮が言うことを聞かずとも、積極的に制裁をかけることはない。
石油の輸出停止などを実行すれば、北朝鮮は従うしかないように思われる。
これらのはっきりしない態度は中国が今のままの状態が一番いいと思っていることの表れだ。
中国は北朝鮮が日米韓に迷惑をかけて、その仲裁役をかっているのが有利だとみている。
実際六ヶ国協議の主催者だということは、中国にとっての国際的地位の向上になっている。
このあいまいなままの状態が続けば一番良くても、北朝鮮の暴走がそれを許さなくしている。
中国は判断を迫られているはずだが、北朝鮮との過去のしがらみから何もできないというのが実態だ。
私の考えでは、韓国が北朝鮮に戦争を仕掛ければ、口では批判するが、実際は何もしないと見ている。

それでは国連安保理の討議がどうなるか見てみよう。
中国が今のままの状態が一番いいということは、中国の時間稼ぎに終始することになりそうだ。
とにかく中国の調査団の派遣を認めさせ、何やかやと時間を稼ぐ。
自作自演説を持ち出せば時間など幾らでも稼げる。
その間に事態の緊張が緩和するのを待つのだ。
ただ、これは難しい。
仕掛けているのは、最初に述べたように北朝鮮だ。
韓国が屈伏しなければ新たな挑発を開始する。
対立はエスカレートするしかないように見える。

局面の打開は中国が北朝鮮の行動に手綱をつけて、積極的にコントロールすることにあるだろう。
北朝鮮の行動に軍事上の援助をしないという表明だけでも、北朝鮮の暴走を抑える効果がある。
しかし、今までの行動から何もしないように見え、結局対立はそのまま続くことになる。

今までの分析から今後どうなるかの確立を考えてみよう。
ケース1、韓国が屈伏する。
20%ぐらいか。
ケース2、韓国と北朝鮮が一触即発のまま対峙し、年内に戦争状態に入る。
40%ぐらい。
ケース3、韓国と北朝鮮が一触即発のまま対峙し、そのまま年を越える。
40%ぐらい。

思った以上に、戦争確率が高かった。
つまり、韓国、北朝鮮とも戦争自体は避けたいが、後に引くことはできない。
顔を突き合わせ一触即発の状態が当分続いていく。
こうなる確率が一番高く、そうすると偶発的な衝突を両方止めることができず、戦争になるということだろう。
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経済情勢雑感(2010/05/21)

2010.05.21 Fri

17:04:46

「おはぎゃー」の声で始まりそうな一日の朝だ。
ダウが400ドル近く下落して、1万68ドル、1万ドル割れ寸前だ。
日経も1万円から大幅に割れて始まっている。
この下げ自体は、昨日の為替市場で大幅なユーロ安が起こっていた以上、当然のことに思える。
ギリシャに始まった危機が世界に拡大してきたというところか。
今後どうなるか、ちょっと考えてみたい。

まず、第一に思うのは、やはり今回の危機の始まりはギリシャではなく、FRBの不動産担保証券の買い上げの停止ではないだろうか、ということだ。
3月末に打ち切られた影響が表面化してきたように見える。
FRBによる資金の供給が止まり、どういう経路かはわからないが、末端に行くほど金の流れが滞って、もっとも信用が低かったギリシャで表面化した。
ただでさえ、資金の流れが細くなっている所に、信用リスクが表面化したので一斉に資金の流れが止まり、世界に危機が再現したことになる。
危機が表面化した以上、とりあえずリスク資産は売り、投資家は収まるまで待つのが常道だろう。
当分株式市場は下げそうだ。

さて次に考えるのは、この危機がどこまで広がるか、あるいは深くなるかだ。
まず、リーマンショックほどひどくなることは流石にないような気がする。
金融機関の倒産は各国政府が阻止するだろう。
もちろん、金融機関の倒産を防ぐために各国政府が支援する能力があるかという問題はある。
ギリシャみたいに、国自体の信用がなくなれば、金融機関の支援などできない。
けれども、EUが曲がりなりにも、まとまって支援策を実施したように、一応協調はできた。
EUが一丸となって行動すれば、当分は持つだろう。

もちろん、そのための代償はある。
国家自体の信用性が問われる以上、財政政策を通じて景気の維持は図れない。
ギリシャが支援によって、大幅な財政赤字縮小の政策に回ることで、ギリシャの不況は拡大していく。
ポルトガルが空港建設などの公共事業の建設延長を決めたように、PIIGS諸国でも尻に火がついている以上、引き締め政策を強めざるを得ない。
EU全体としては、ある程度余力がありそうだけれど、リスクを取って財政政策を取れる国がない。
ドイツが筆頭となって財政政策を実行して、景気維持に努めるのが理想だが、そういうわけにはいかない。
日本やアメリカのように、最終的に国債を自国の中央銀行に買わせる能力を持っていれば、後先考えずに財政政策を発動できる。
デフォルトする危険はないからだ。
中央銀行が通貨を発行することでインフレになる危険性はあるが、デフレの危機が迫っている状況では、政府はそんなことを考えているゆとりがない。
しかし、ドイツの場合は難しい。
最終的な通貨の発行権がECBという、誰が最終的に責任を持つのかよくわからない機関にある以上、あまりにも財政赤字を拡大すれば自国自体が危機に陥ることもある。
さらに、財政赤字各国に対して、自らが範を示すためにも、ドイツが財政赤字を膨らますことはできない。
インフレを嫌う国民感情も大きい。
誰も責任を取れない以上、金融機関や危機に陥った国を助けるための支援はできても、それ以上はできない。
つまり、EU自体は全体として不況に沈みそうである。

そして、イギリスが次の焦点になる。
イギリスが日本・アメリカ型になるのか、それともアイスランド型になるかである。
日本・アメリカ型というのは危機になって自国通貨が上昇している以上、いざとなると財政政策による需要の拡大が可能の国である。
アメリカは経常収支赤字でも、とにかく危機にあってドル高になっているのだから、たぶんどこかで採算は取れているのだ。
イギリスがどちらになるのかよくわからない。
イギリスのポンドはリーマンショック後大幅に下落した。
これ以上財政赤字を増やすと更に下落する危険性がある。
ポンド建ての債券がきちんと返ってきたとしても、価値が大幅に下落していては意味がない。
ポンド建ての債務がある企業、銀行など以外、購入するリスクを取れなくなる。
でも、イギリス内部ではデフレなのかインフレなのかわからないような状況が続いている。
財政赤字を拡大する余地がまだあるかもしれない。
しかし、財政赤字を心配する声がそこらで上がっている。
選挙に勝った保守自民連立政権も財政赤字縮小に動いている。
債券市場から強制されるかどうかは別として、財政赤字縮小に動くことは需要が減るということだ。

ユーロ諸国、イギリスが需要縮小の方向に動くというのは、世界景気にとってマイナスだ。
アメリカ、日本も財政赤字縮小の方向に動いている以上、世界景気はどうなるだろうか。
それでも、底だけは抜けないと思う。
日本の企業の財務基盤はかなりしっかりしている。
アメリカの企業も、企業だけはそれほど借金が多くない。
2000年のIT危機の時にかなり債務を返却している。
リーマンショックによる消費者の打撃は大きいが、企業の債務が大きくなければ信用危機は発生しない。
アメリカの景気先行指数は悪化したが、リーマンショック後の梃入れが終わったところだろう。
落っこちて、上がって、又下がり始めるわけだ。
アメリカはバブル後の日本と同じく当分こんな状況が続くのではないかと思っている。

そこで日本の景気だ。
日本は1-3月期の年率換算の成長率が4.9%となった。
2009年10-12月期の成長も3.8%だったのだから、成長が加速している。
もちろん、当てにならない面はたくさんある。
そもそも日本のGDP速報は信用できない。
輸出の回復頼みによる成長ではないかという疑問もある。
消費は伸びているけれど、政府の補助金制度による助けもあって、どこまで本当の力なのか、よくわからない。
補助金等が止まれば、消費の伸びも止まってしまうかもしれない。
私はマンション市況が下げ止まったことや、物価の低下もあって、バブル後始めての本当の消費の回復なのではと期待している。
今までもそう予測して外してきているので当てにはならないが、それでも、マンション市況が下げ止まったことは資産価格の低下が止まったことだろうし、物価の低落が続いたことによる商品のお得感は強まっている。
経済成長率が4半期続けて3%を越えてきたことも、本当に久しぶりではないだろうか。

心配なのは輸出の回復だ。
現状維持で行けば、日本経済の自律回復である程度は行けそうな気もする。
ただ、現状維持で行けるかどうか、中国のバブルっぽさも含めて予想がつかない。
心配事はつきないわけだ。
日本経済が不調を続けて20年、あまりいい経験がないのだから懐疑的になるのも無理はない。

一つだけ、問題がなさそうなのは円高だ。
ユーロ安、ドル安で輸出企業の採算が心配だが、円高は長くは続かない。
円高をはね返すだけ投資が日本からは期待できる。
アマテラス製薬によるTOBの成功に見えるように、日本企業の財務状態は悪くない。
欧米企業の資金繰りが苦しくなっている以上、買収チャンスは多い。
円キャリートレードも期待できる。
日本国内にリスクを取れる資金がある以上、円高が一段落した時点で資金が出ていく。
バブル崩壊直後の政策金利は安くなっても、リスクを取れる資金、本当の金、富がない状態とは異っている。
欧州はそんなに判然とはしないが、アメリカにはそれなりに資金が流れていく。
円高が長く続かなければ輸出面での制約はそれほど大きくはない。

そんなわけで、いつのものように私は楽観的だ。
丁半バクチでどちらかに賭け続けていれがいつかは勝てるように、一方向だけの予測を言い続けていてもいつかは当たる。
丁半バクチではその予測には意味がないのだけれど、経済成長の場合は違う。
経済成長では、人類の歴史以来人間の生活はずっと向上してきた。
つまり、経済成長の予測では上がるに賭けていれば、基本的に100%勝てるのだ。
その考えがバブルを生み、そして、その崩壊も生む。
でも、バブル崩壊後20年そろそろ正しい目が出て欲しい。

アメリカは第二次世界大戦後軍事支出が急減したことで景気が悪くなるのを心配した。
戦後の反動と思えた消費の伸びは、経済専門家の予測を裏切り、続いていった。
大恐慌後の本当の成長が始まったのだ。
相変らす、日本についての専門家の経済成長の予測は厳しい。
この20年間裏切られ続けたことで、消費の継続的な伸びが信じられないのだ。
だから、消費の伸びが止まり、成長は止まると予測している。
けれども、いつか消費は伸び始める。
それが今回であっても不思議ではないと思っている。
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絵に描いたエンジンは飛べない - 「スペースシャトルの落日」批判

2010.05.12 Wed

02:26:06

松浦氏著の「スペースシャトルの落日」の増補版が発売されていた。

私は増補版を読んでいないのだが、旧版を読み返した所、どうも気になる部分があったので批判してみた。

松浦氏は「スペースシャトルの落日」で、日本の液酸液水エンジンの開発が間違いではなかったかと指摘している。
同意できない。
第一段エンジンがソ連で作っていた液体酸素・ケロシンエンジンの方が良かったという意見には同意できる。
しかし、日本が第二段用に液酸液水エンジンと第一段用に液体酸素・ケロシンエンジンの二つを同時に開発していれば、単純に考えれば開発費は二倍である。
一つのロケットを開発するのに、他の国と比べて開発費が二倍などと言うのは、少なくともその当時の日本には耐えられない。
アメリカのサターンロケットのように、第一段は液体酸素・ケロシンエンジンで、第二段は液酸液水エンジンなどという開発はアメリカだからできたのである。

買ってくるなどと言う考え方は全く無意味である。
軍事的観点から自力で飛ばす能力を持たない国には、どこも売ろうとしない。
GXロケットのように、ロシアから第一段エンジンを買う話は日本が現在第一段第二段両方のエンジンを開発できているから出てくる話なのである。
韓国が第一段エンジンをロシアから買っているが、それはその当時ロシアがあまりに落ち目だったから買えたに過ぎない。
石油の価格が上昇している現在、ロシアは弱くなくなった。
韓国のロケットは現在の開発が終了すれば、第一段エンジンは売ってくれなくなり、開発は断絶してしまう。
こんな開発が問題なのは明らかである。

そうすると、第一段第二段両方をどちらかのエンジンで開発を統一するしかない。
液体酸素・ケロシンエンジンで開発を統一するのは、ソ連という前例があり、アメリカもこれで開発を始めているのだから、無難ではある。
でも開発技術者としては、同じ物を後から開発するのはちょっとどうかとなる。
液酸液水エンジンの開発は当時の最先端であり、挑戦のしがいがある。
そして、第二段エンジンとしては液酸液水エンジンの方が望ましい。
高推力のエンジンとしての能力がフルに発揮されるからだ。
さらに、ロケットの能力は第二段エンジンの方が重要なのである。
こちらの能力の方が打ち上げ重量のもろに響いてくるからだ。
そうすると、第二段エンジンに液酸液水エンジンを採用した日本の方針に問題があったとは思わない。
その当時の技術力では高めの技術だったとしても、実際の開発では成功したのだから、正確に技術の将来を見越していたことになる。

ソユーズの液体酸素・ケロシンエンジンは費用が安いという話が出てくる。
これは液酸液水エンジンより構造的に安いかというと必ずしもそうは思えない。
最大の原因は、ソユーズのロケットが量産化できているからだ。
日本の液酸液水エンジンだって量産化すればかなり安くなるはずである。
実際、第一段ロケットに使っているLE-7エンジンを第二段エンジンと共有化するLE-X計画は着実に進んでいる。
第二段に使っているLE-5エンジンの能力をアップしたLE-Xを開発し、第一段ではLE-Xエンジンを複数使う。
そうすることで、LE-Xエンジンの量産化を図り価格を安くするわけだ。
同じエンジンを複数使って、日本のロケットをもっとたくさん打ち上げることができれば、始めて液体酸素・ケロシンエンジンと価格差があるか、同じ土俵に立って議論できることになる。

結局の所、松浦氏の指摘は理想と現実の差でしかない。
具体的になっていない、理想の絵は素晴らしく見える。
しかし、実際に開発に着手すれば汚い所がたくさん出てくる。
いろいろな事から妥協を余儀なくされる。
そうなった現実は理想から見ると、ひどい物に見える。
けれども実際に動いているのは凄いことなのだ。
動いていれば改良点は見えてくる。
それを一つ一つ潰していけば、性能は確実に上がる。

将棋の中原名人の言葉に「この局面で勝つ手は一手だけである」というのがある。
正確な言葉は忘れてしまったので、こんなだったと思う。
盤面に勝てそうな手が幾つもあったとしても、実際に指すことができる手は一つしかない。
その手で勝つことができるかどうかが全てなのだ。
日本の液酸液水エンジンの開発も実用化までにはこぎつけた。
世界の他の国に比べれば、ずっと少ない予算で開発したのだから、それだけで大成功である。
液体酸素・ケロシンエンジンの開発については、今この時点で考慮すればいいだけの話だ。
打ち上げできているのだから、時間は十分ある。

松浦氏は日本の宇宙開発について取材している数少ないジャーナリストだ。
宇宙開発に情熱を持っている分、日本について厳しくなっていると思う。
けれども、外野で眺めている者としては、単純にJAXAを中心とした日本の宇宙開発技術者たちを応援していきたい。
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「農民国家・中国の限界」感想

2010.05.06 Thu

02:35:00



『「食糧危機」をあおってはいけない』を書いた川島博之氏による中国本。

目次は下記の通り。
序章冷静に中国を分析できない日本人
第1章中国は巨大な農民国家
第2章膨張する都市と地価
第3章「奇跡の成長」はなぜ起こったか
第4章都市と農村の大格差
第5章農業では豊かになれない
第6章中国爆食論の嘘
第7章日本というモデル―なぜ農工間格差を是正できたのか
第8章農民国家中国の未来

単純な中国経済の本というより、過去の日本経済との比較を通じて中国経済の未来を占う、日中経済論に近い本。

印象的な部分は、戦後他の国では減っている中で中国の農業人口が増えたということであり、まだ人口の60%近くが農業人口という点だった。
ただ、農業人口の統計が当たっているかについて、私はどうも疑問に思っている。
出稼ぎ等を捕捉できない人口がもっといて、農業人口は減っているような気がする。

中国経済に関する見方はオーソドックスな感じ、今現在はバブル状態で、共産主義体制が続く限りサービス産業化が続く現代的な経済では発展を望めないとしている。

中国経済のオーソドックスな解説本としてはいい本なのではと思った。
中国経済がバブルっぽいのは多くの人が同意するとこだろう。
問題はバブル崩壊後の影響がどのくらいかで、日本列島改造論の後の不況になるか、バブル不況になるかは大問題なのだが、私ははっきり判断できないでいる。
もっとも中国が不況に陥っても、中国政府は金額に拘ることなく公共事業は行なうと思うので、完全に底が抜けるような状態はないだろう。

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次期覇権国はなぜ長期不況に突入するのだろか?

2010.05.01 Sat

15:59:18

風邪がようやく引いて頭が動くようになった感じだ。
本を書くぞと言っても、なかなか進まない。
逆に別のことを書きたくなってしまう。
そんな訳で頭に浮んだことをまとめてみた。

覇権国が覇権を握る前に長期不況に突入するのは、なぜだろうか。
イギリスの南海泡沫事件やアメリカの大恐慌は、なぜ必要だったのだろうか。
なぜ不況が起こったかはわからないが、覇権を握るために長期不況が必要だった理由はわかる。
それは長期不況が生産性を改善させ、覇権国になるための基礎を築くからだ。

物が売れなくなり、不況になると、社会はそれを改善するために必死になる。
物的生産性を上げ、コストを下げて、販売価格を下げる。
あるいは、品質や機能を向上させて、お得感を作り出す。
つまり、本質的な意味での生産性を上げて、物やサービスを売れるようにするのだ。

次期覇権国が覇権を迎える前の長期不況は、その生産性の向上を促す鞭となる。
それまでは、その時の覇権国に追随した量的拡張が生産性向上の最大の要因となっている。
覇権国で生み出した、新技術、新商品を取り入れて、普及すれば生産性が向上し、成長していく。
明治維新において、西洋からの新技術が伝播して、日本中に普及していったように、普及するだけで生産性は向上する。
本質的な意味での新しい何かを生み出す必要はない。
もちろん、この過程でも独自に生まれた新商品はあるし、質的な生産性の向上もあるのだが、大部分は量的な普及だろうということで単純化しておく。

次期覇権国が覇権を握る前というのは、生産性が世界の最先端に追いついて、量的な普及がもう難しくなった時点だ。
そのままの状態では、物が動かず、経済が停滞する。
エントロピーの飽和状態と似ている。
それを変革するのは新しいエネルギー源の創出であり、経済であるならば新技術の発明となる。
新技術が普及していくことによって、経済は活況を呈し成長を再開することになる。

つまり、次期覇権国が覇権を握る前に長期不況に陥いるのは、今までの量的な発展から質的な発展に移行するためだ。
あるいは、長期不況の時期に生み出した質的発展が世界に普及している間だけ覇権国は覇権を握っていられるのかもしれない。
アメリカが大恐慌の時期に生み出した技術のネタは多い。
ナイロンの発明に見る石油化学産業、統計機械から生まれたコンピューター産業など数限りない。
その発明の量的拡大や普及のみがアメリカの戦後の発展の全てとは言い難いかもしれないが、大きな役割を果たしたとも言える。

アメリカを覇権国に押し上げた原点が石油文明だとするならば、大恐慌による技術的発展は必ずしもそれに対応していない。
他の国で起こっても構わなかったように見える。
そういう意味で、長期的不況によって生まれた質的発展がその覇権国の期間を決めるとは言い難い。
むしろアメリカの場合は、石油文明によって世界に覇を唱える生産性の向上が与えられ、その向上分によって生まれた余剰を消費するための需要を長期的不況で生み出したと言える。

ジャズやハリウッド映画の本格的な世界への普及も大恐慌の時代だ。
大恐慌が社会の全般的な改良を促したから、その向上を感知して世界に普及した。

振り返って見るとクールジャパンという現象も、日本がバブル崩壊後の長い不況に入ってから起こっている。
アニメマンガゲームといった文化的な部分は不況とあまり関係がないかもしれない。
しかし、コンビニエンスストアや宅配便の普及は、やはり長期的不況によって促された気がする。
今の人々が日本的な便利さと言う細々とした改良も、この不況の時代からだ。
納豆についている醤油が注ぎやすいように、出っ張りや切れ線が入ったのはこの不況の時代の気がする。
正確には覚えていないので、錯覚かもしれないが。

だから私にはパラダイス鎖国などと、日本だけが独自に発展していると言う意見は間違っているとしか思えない。
日本で便利だと思う事項は、やはり世界に普及していくはずだ。
日本式思いやりは世界に通じるなどと言う話ではなく、単純に世界の最先端を走っているから、そこで成功を収めるものは世界にも普及するという話だ。

日本が世界の最先端かどうかは疑問を持つ人がいるだろう。
かって、世界一位に近かった一人当りGNPも急落しているのだから、その考えは過去のものと言うわけだ。
しかし、単純なビッグマック指数で考えてみると、日本は世界一なのだ。
単純なビッグマック指数というのは、ビッグマック一個を手に入れるために必要な労働時間を比較する話だ。
ビッグマック指数 - Wikipediaによると日本でビッグマック一個を手に入れるために必要な労働時間は10分で、世界で一番低い。
アメリカが11分だ。
単純すぎるかもしれないが、世界の最先端に近いことはそれだけで言えると思う。

もう一度図式的に考えてみよう。
次期覇権国はエネルギー効率を改善することによって、世界の最先端に立つ。
イギリスが石炭をエネルギーにしたことによって、アメリカが石油をエネルギーにしたことによって、エネルギー効率を改善したようにだ。
エネルギー効率が改善すれば、供給力は増えていく。
しかし、その供給量に見当った需要はまだ生まれない。
人々は単純な量的発展が永遠に続くと思うが、それだけでは飽和状態に達して、結局長期停滞を生み出す。
不況が長期になるのは、今まで述べたように生産性の拡大が質的な変革だからだ。
長期停滞は、だから生産性に見当った消費を生み出すための産みの苦しみなのだ。
自転車競技でトップ目が風圧に苦しむように、覇権国になる国もその風圧に耐えなければトップで走ることはできない。
その風圧に耐えて、他の国々を引っ張っていけるようになれば、堂々たるトップということになる。

以上が覇権国が長期不況に見まわれる理由だ。
なお、覇権国という言葉を使ったが、これは次世代産業のリーダー国が結果的に軍事的、政治的覇権を握る事が多いということだろう。
国際情勢が緊迫化しないならば、特に覇権という感じは発現しないのかもしれない。
その国で発展した産業が他の国に次々に普及していく感じでリーダーを取る国のことを指し示すとして理解して欲しい。

参照:覇権国交代の理論 - 「内向の世界帝国 日本の時代がやってくる」
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