異をとなえん |

中国バブルの最終局面

2010.03.25 Thu

04:09:54

中国の経済はバブルだと判断し、だから賃金が上昇せず、インフレが発生していないのだと「中国がアメリカに対して敵対的になっている理由」で述べた。
でも、最近沿岸部で労働者が雇えなくなっているのだというニュースが聞こえてくる。
賃金も上昇しつつあるみたいだ。
これは何を意味しているのだろうか。
私にはバブルの最終局面に移動しつつあるように見える。
このままではインフレが発生し、社会に多大な負担をかけるだろう。
中国はインフレを許容できないので、それを止めるために引き締め政策に入らざるを得ない。
バブルが発生しているならば、引き締め局面では資産価格の暴落が起きる。
今年2010年中に引き締め局面に入るとすれば、来年2011年までには暴落が起こるだろう。

もっとも、北京オリンピック前に株式価格の暴落があったように、今回の土地価格の上昇も高度経済成長における一つの現象かもしれない。
土地価格は今後下落に転じるとなぜ言えるのだろうか。
あるいは、土地価格が下落したとしても、再度上昇しないとなぜ言えるのだろうか。
前の株式価格の暴落が元に戻りつつあるように、土地価格も上がって下げてまた上げるだけなのだろうか。
その答えは私にはまだわからない。
予測できるのは、もしバブルだったとしたら何が起こるかだけだ。
ただ、バブルの最終局面は株式ではなく、土地の上昇によるものだと思う。
日本にしても、アメリカにしても、最後は不動産価格の上昇が最終局面だ。
中国も土地価格の上昇が最終局面の可能性は十分にある。

今回がバブルだとしたら、資産価格の上昇は価格体系のゆがみを引き起こすことになる。
資産価格が上昇することによって、人々は消費を増やしていく。
あるいは、投資が増えていく。
その結果、需要が増大し、価格が上昇し、経済はその価格に合わせて、均衡状態を作り出していく。
つまり、自分の収入が賃金だけだったら、絶対に買わないものを買っている人たちがいるということだ。
そして、そういう人たちがたくさんいるならば、他の人の消費も最終的にはそれに依存する。
他の人は質素な生活をしていても、その賃金が贅沢をしている人に依存しているとすれば、贅沢をしている人たちが倹約生活を始めたら、賃金が下がらざるを得ないということだ。
つまり、バブルによって、経済構造が変化したということだ。

中国の近年の経済成長は外国からの投資による、輸出依存型の成長だった。
輸出金額自体のGDPに占める割合も非常に大きかったし、その輸出を行なうための外国からの投資による中国の中での資本形成も大きかった。
中国の低賃金労働者の存在が外国からの投資を引き付け、高度成長を生み出したのだ。
低賃金だけだったら、中国以外にも国はある。
中国の高度成長には、中国政府のサポートも大きかった。
港湾などの物流設備の建設など、輸出のために必要なインフラの構築や制度をきちんと整備した。
それらが、コストを縮小させ、輸出を増大させることを可能にした。

この状態が続けば、低賃金労働力が枯渇し、賃金の上昇が始まる。
これは中国の国際競争力を弱め、経済成長の原動力を失わせるはずだ。
もちろん、普通の状況で起きているなら問題はない。
通常の状況では、賃金が上昇して極めて競争力が弱い部分の企業が存続できなくなれば、それらの企業は労働者を吐き出すはずだ。
結果、新たな経済の均衡状態に達する。
もちろん、経済成長につれて労働者の生産性は確実に上昇していくことが予想されるから、均衡点もそれに連れて変わっていく。
つまり、生産性の上昇以上の賃金上昇は自動的に補正されるということだ。
少し上がった賃金の上昇は国内経済の新たな需要を生み、中国全体の効用が増加していくことになる。

でも、現在バブルが生じているとする。
賃金は生産性の上昇以上に上がり、均衡点を大きく越えていくようになる。
その場合、簡単に補正が効かなくなる。
一時的な停滞ではなく、実質賃金の低下自体が必要になるかもしれない。
それは簡単にはできない。
経済が大きく停滞する原因になる。

中国に今回バブルが発生しているとすれば、それはアメリカの金融危機による、輸出の減少を防ぐための、公共投資の増大から始まった。
中国政府の金融緩和と公共投資の増大が爆発的な需要増加を生み出している。
日本のバブルがブラックマンデーによる株式の暴落を食い止めるための、内需拡大から始まったことを思いださせる。
爆発的な需要増加は内陸部で労働者の職を確保した。
高速鉄道の建設、高速道路の建設と中国は内陸部で大幅に公共事業を増やしている。
中国内陸部の労働者は沿岸部に出てこなくなりつつある。
その結果、中国の沿岸部の労働者の賃金の上昇が始まっている。

中国の公共事業が意味のあるものならばいい。
それは中国の労働者の生産性を上昇させているのだから、賃金が上昇し、輸出する力を弱っても問題ないことになる。
でも、それが投資ではなく、無駄な消費であったらどうなるだろうか。
あるいは、北京や上海などで建設されているマンションの需要が本当にあるかだ。
それらの需要が偽物だとしたら、所有者は最終的には消費や投資を減らすしかなくなる。
バブルの崩壊というわけだ。
そうなれば、上昇した賃金で均衡点に達していた経済は大幅な需要不足に陥いる。
輸出を増やしたくとも、大幅に上昇した賃金の元では国際競争力がなくなり、簡単には輸出を増やせなくなる。
これがバブル崩壊による経済の停滞だ。

中国政府は経済の停滞を許容しない。
公共投資を財政に余裕のある限り続ける。
それは歪んだ賃金体系を維持し、ますます狂った状態を維持させる。
日本のバブル崩壊後の公共投資と似たようにだ。
中国が日本と違うのは、日本の場合それが役に立たなければ、時が経てば批判が起こり、それを止める力が生まれる。
中国ではそれが難しい。
マスコミを支配している中国共産党は、世論の批判もなく無駄な公共投資を延々と続けそうだ。

中国自体の中では技術力の上昇は着実に続いているだろう。
最近の工作機械の生産高で中国が日本を上回ったのは、その表れの一つだ。
だから、バブルが崩壊したとしても、経済成長が続いていくような気もする。
けれども、それは現在の価格体系で最適化した結果だ。
価格体系が崩壊すれば、新たに再構築するしかない。
それには時間がかかるだろう。

中国がバブル崩壊後も経済成長を維持しようとしたら、過大な公共投資を続けるしかない。
それは社会に負担をかける。
問題は中国社会がそれに耐えられるかだ。
高度経済成長を続け、所得が伸びていたからこそ、人々はいろいろな不満を耐えてきたと思う。
経済が停滞すれば不満は蓄積され、政府への抗議もさかんになるだろう。
経済をきちんと成長させる、正しい政策を要求するようになる。
正しい政策があるかないかが問題ではない。
自分たちが不満だということを表すために、政府に文句をつけるのだ。
やはり、最終的にはカオスがやってきそうだ。

なんか、「中国はバブルなのか?」と同じことを書いている気がする。
結論も同じだ。
でも、表現だけは少しわかりやすくなっていないだろうか。
そうでないと、ちょっと悲しい。
このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る