異をとなえん |

長期停滞に関するメモ

2009.07.11 Sat

20:03:03

長期停滞の原因については、これまでも幾つか記事を書いてきた。
ただ、能力不足のせいか、書きつくせないことが多いので、
要点だけを今後の記事の参考にするために箇条書きしておく。

・長期停滞の原因は資産の下落にある。

・アメリカの大恐慌の時の資産の下落は、
モーターゼーションの影響に伴なう都市の地価の下落だと推定する。

・日本の「失われた十年」での資産の下落は、
人口縮小に伴う土地価格の下落だと推定していた。
しかし、日本の場合も、
モーターゼーションに伴なう都市の地価の下落かもしれない。
地方の都市の商店街が過疎化していることが、その表れである。

・資産の下落は全体の所得の減少を招き、結果として消費も減少していく。
これはさらに、賃金の減少を引き起こしていく。

・長期に渡って停滞が続く原因は、資産価格の下落、実質賃金の低下を、
人々は容易に認めようとしないからである。
仕方がなく納得するのに、十年近い年月がかかる。

・財政政策はきかない。
実質賃金の低下が必要なのに、低下を阻害する。

・リフレ政策はきかない。
インフレを起こすためには、賃金の継続的な上昇が必要である。
実質賃金の低下が必要なのに、賃金を上昇させようとする政策は矛盾している。

・長期停滞を阻止する手段は?
経済の縮小を認める、生活水準の低下を認める、
それらがあって始めて回復していく。
しかし、そんなことを簡単に認めるようでは人類はやっていられない。
完全に生活できない人を保護するのは当然として、
地道に状況を理解していくしかない。

・今回のアメリカの住宅価格の下落は、
エネルギー価格の上昇による郊外化の否定では?
もし、アメリカの多くの住宅に人が住まなくなるのであれば、
その資産価格の下落は甚だしいものになる。
その調整には非常に時間が、かかるであろう。

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円高ドル高雑感

2009.07.11 Sat

02:40:34

円高ドル高が急に起こっている。
円は7月9日のニューヨーク市場で91円台に一瞬突入した。
ドル自身も円以外の通貨については高くなっている。
ドル高については予測していたので、それほど驚きはない。
不思議なのは、ドルが上がるにつれて円も高くなっていることだ。
もちろん、リーマンショック以来、景気後退の予測が強まると、
株式が下がり、債券が上がり、円とドルが高くなっているのだから、
なった事自体は不思議でも何でもない。
しかし、なぜ円がドルと連れ高するのかは、
納得できそうで納得できないことである。

ドル高は、不況によるアメリカの輸入の減少と
外国からアメリカへの資金の引き上げに伴って起こっているもので、
予測できる。
下記のページにもあるように、バブル崩壊時の日本と現象は一致している。

「空中戦」が続く為替相場、くすぶる不良債権問題とドル不足


 「今は90年代後半のジャパン・プレミアムを彷彿とさせるドル・プレミアムの状況だ。原因もジャパン・プレミアムの時と同様で、ドルの不良資産をバランスシートからそぎ落とせないこと。財務体力が弱る中でドルとドル資産の値崩れは不都合なのだろう」(同マネージャー)。 

 他方、欧米金融機関は円建て資産の圧縮には急激に進めている。日銀によると、在日外銀の総資産は5月末に35.68兆円となり1996年12月以来12年5カ月ぶりの低水準となった。リーマンショック直前の昨年8月末には50.59兆円で、9カ月間に30%も圧縮された。 


しかし、これは日本とアメリカの関係にもあてはまっているはずで、
なぜ円高になるかがよくわからない。
AIGビルや日興證券の売却などで、
確実に資金はアメリカから日本に流れているはずだ。

私のこの疑問への回答は、
国際的な投機資本の源泉が日本にあったとしか言いようがない。
日本の低金利の金を元手にして各国に投資していた。
不況によって資金の回収に迫られると、
清算するために日本に資金を戻す必要がある。
そこで証拠金を回収してドルに変換するのだろう。
具体的な証拠はないのだが、そんな風に解釈できる。
日本に戻る資本と日本から出ていく資本では、
日本に戻る資本の方が多いから円高になる。

日本は円高になると苦しくなってしまうのだが、今後はどうなるのだろう。
円高はそんなに続かないと考えている。
アメリカが資本を他国に投資するゆとりはなくなっているが、
日本はだいぶ違う。
リーマンショック以来の信用収縮も落ち着いた。
日本が外国に投資する力はある。
下記のページによると、投信によるドルの投資は活発になっている。

投信の円売り・海外勢の増資払い込み、わずかな取引チャンスとして意識


 海外株式や外債などの海外資産に投資する外貨型の投資信託の人気が高まっている。大和証券SMBCの試算をもとにすると、6月はこれらの投資信託への資金流入が4538億円に膨らんだ。2008年7月(5176億円)以来11カ月ぶりの規模だ。6月はボーナス月という季節要因もあるが、4月の2690億円、5月の3215億円と流入規模は増加基調。2008年9月のリーマン・ブラザーズ破たんをきっかけにした金融市場の混乱で一時は個人の投信購入には急ブレーキがかかり、2008年10月には1392億円の資金流出となったが、ここにきて投信へのマネーフローは着実に回復トレンドをたどっている。


そのページにある増資については、
最終的に外国企業の買収等で出てゆく金に近いと思うので、打ち消しあうと見る。
円高になった分、外国に投資しやすくなっているはずで、
日本の景気が二番底をつけない限り、
アメリカが戻した部分を補って投資が進み、
円安に向かうだろう。
そんな風に予測している。

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