異をとなえん |

体の調子がいい時を大切に

2009.02.25 Wed

19:40:11

体の調子が悪い。
胸のあたりが腫れてしまった。
原因は、たぶんパジャマのゴムひもがきつかったからだ。
時々痛んで、集中力が阻害される。
年を取ると、こういう所で効率が鈍くなる。
状態がいい時に、作業をしなくてはならないのだが、たいていは遊んでしまう。
体の調子が悪いと、調子がいい時を大事にしなくてはという気持ちが生まれる。
その気持ちを大事にしたい。

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村上春樹氏と覚悟ある発言

2009.02.23 Mon

21:59:48

村上春樹氏が、イスラエルの文学賞の受賞スピーチで、
卵と壁の発言をしている。
ネット界では、話題になっているみたいだが、私は興味はなかった。
しかし、日経ビジネスオンラインの感想を読んで違和感を覚えた。
村上氏のスピーチを覚悟ある発言と評価しているのだが、
あれは覚悟ある発言なのだろうか。
私には典型的な気持ちのいい言葉に思える。

卵の側につくと発言だけするのは簡単な話だ。
しかし、具体的な支援方法がなければ、現在戦い続けている人たちに対して、
ほとんど役に立たない。

だからと言って、村上氏を批判しているわけではない。
私だって、平和の方がいいけれど、解決策があるわけではない。
だから、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」にあるように、
「ケンクワヤソシヨウガアレバツマラナイカラヤメロトイヒ」というのは、
しょせん傍観者の意見だが、それなりの意味はある。
「ミンナニデクノボートヨバレ ホメラレモセズ クニモサレ」ないかも
知れないが、一つの切っ掛けになるかもしれない。
これを機会に平和に向かう可能性はつねにある。

村上氏は単純な戦争の話ではなく、
現代の環境自体の話としてもしゃべっている。
卵とは個人であり、壁とはシステムだ。
しかし、システムを作り出しているのも各個人なのだ。
だとしたら、卵と壁は同一の物の二つの面にしか過ぎない。
その時、卵の側につくという事が何か意味を持つのだろうか。

小説家として、あるいは傍観者としてなら意味があるだろう。
ただ、それを覚悟ある言葉と称賛されると違和感を感じる。
覚悟ある言葉とは敵をつくることを怖れない発言なのだ。

私は敵を作りたくない。
コメントに対して、返答をするときに相手の感情を害したくない。
また、コメントを貰えることを期待して気をひきたくなる。
八方美人な態度をとって、あいまいにしたくなる。
だから、どう書いていいか悩んでします。
人間関係の付き合いが下手くそだなと自分で感じる。

それでも、何か物事を動かしたくて、覚悟ある言葉を使いたい。
小説家というのは、ある意味責任を回避することに全てを賭けている。
それはそれで、一つの道だ。
しかし、小説家の言葉が普通の人々にとっての覚悟ある言葉とは思えない。
「気持ちがいい言葉」ではなく、
「覚悟ある言葉」を使うという態度に共感するからこそ、
小説家の言葉を覚悟ある言葉と評価することに激しく違和感を持つ。
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沸騰都市「TOKYOモンスター」感想再び

2009.02.20 Fri

03:40:32

ブログにアクセスしてきている検索ワードを見ると、
「沸騰都市 東京モンスター」が多い。
でも番組のタイトルは「TOKYOモンスター」で、
これだけローマ字が入っていた特別な回だ。
それを記事を書くときには意識していたのだが、
なぜか記事のタイトルは今見ると「東京モンスター」になっている。
タイトルを直そうかと思ったのだが、アクセス数を稼ごうというスケベ心で、
もう一回記事をでっちあげることにした。
実験も兼ねてみる。
とは言っても、だいたいのことは、前の記事に書いてある。
そこで、推敲の際に落とした部分で、
かつ、この記事を読んで刺激された部分を追加してみた。

番組の中で江東区の新設の小学校が出ていた。
たとえ、世界がどう変わり、自分たちがどうなろうとも、
校長が言うように彼らにとってはここがふるさとだ。
私にとっても、東京がふるさとであり、コンクリートジャングルと言われようが、
モンスターと言われようが、ここがふるさとであることには変わりがない。
ざりがに釣りをした、水たまりはいつのまにかなくなってしまった。
でも、今住んでいる江東区は、そこらじゅうに公園がたくさんあって、緑はたくさんある。
東京に緑が少ないなんて、誰が言ってるのかと思うほどだが、
どうも江東区は公園が多いらしい。
川もある。
江東区の川は自然の川ではなくて、全部人口の川だ。
全部は言いすぎかもしれないけど。
番組の中で、東京は海を埋め立てて、広がっている話が出てきた。
あれを見ると、なんか元々の23区は普通の陸地みたいな感じだ。
そんなわけがない。
江戸と呼ばれて頃から、海辺を埋め立てて広がってきたのが東京だ。
だから、江東区のほとんどは埋立地だ。
川も人口の川となる。

東京はオランダみたいに海を埋め立てて、できている。
下町と言われる部分はほとんどそうだ。
だから、自然そのままとか言われると居心地が悪い。

ふるさとというのは、特別な場所だ。
どうあっても愛おしい。
冷静には見れない。
ほめられればうれしいし、けなされれば腹が立つ。
だから、モンスターなんて表現は好きではない。
世界のどこにてもある人々の住んでいる地域に過ぎないのだから。

もう一つ、補足。
今週の東洋経済か、ダイヤモンドによると、
東京で人員輸送に使っているヘリポートはないらしい。
新しく始める森ビルが唯一みたいだ。
高層ビルの上にあるヘリポートは避難用なんだろう。
そうすると、サンパウロとヘリコプターやヘリポートの数を比べると、
それはやっぱりわからない。

関連記事
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「沸騰都市ダッカ」感想
「沸騰都市イスタンブール」感想
「沸騰都市 ヨハネスブルク」感想
「沸騰都市 サンパウロ」感想
NHKスペシャル沸騰都市「シンガポール」感想
沸騰都市「東京モンスター」感想
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2009年不法滞在者数統計

2009.02.19 Thu

01:50:38

2009年1月1日付けの、不法残留者の人数をマスコミが報道した。
法務省のサイトに原資料が載るはずだが、
見つからないので報道に合わせて資料をまとめてみた。






























平成21年 平成20年 平成19年 平成18年 平成17年 平成16年 平成15年
韓国 24,198(21.4%) 31,758(21.2%) 36,321(21.3%) 40,203(20.8%) 43,151(20.8%) 46,425(21.2%) 49,874(22.6%)
中国 18,385(16.2%) 25,057(16.7%) 27,698(16.2%) 31,074(16.0%) 32,683(15.8%) 33,522(15.3%) 29,676(13.5%)
フィリピン 17,287(15.2%) 24,741(16.5%) 28,491(16.7%) 30,777(15.9%) 30,619(14.8%) 31,428(14.3%) 30,100(13.6%)
タイ 約6,000( 5.3%) 7,314( 4.9%) 8,460( 5.0%) 10,352( 5.3%) 12,787( 6.2%) 14,334( 6.5%) 15,693( 7.1%)
その他 47,202(41.7%) 60,915(40.7%) 69,869(40.9%) 81,339(42.0%) 88,059(42.5%) 93,709(42.7%) 95,209(43.2%)
合計 113,072 149,785 170,839 193,745 207,299 219,418 220,552
減少数 36,713 21,054 22,906 13,554 12,119 1,134
前年比減 24.5% 12.3% 11.8% 6.5% 5.5% 0.5%


表を見た率直な感想はよく減らしたに尽きる。
去年の結果を見たかぎりでは、比率は改善したとはいえ、
減少数は22,906から21,054と減少していて、摘発の限界に近づいたかと思った。
去年のブログに、
「計画最終年度の今年に、約4万人減らさねばならないが、
それは減少数が約2万2千人で高止まった事を考えると無理だろう」
と書いてある通りだ。
しかし、実際には去年約3万6千人を減らし、
半減という5ヶ年計画をほぼ達成した。
去年だけで約4分の1減らしているのだから、たいしたものだ。

この実績は、次の二つの理由で達成できた。
一つは、不法残留者の記録を精査して、
死亡や帰化の理由で1万人を除外したことだ。

そうすると、実質的に減らしたのは、2万6千人だから、
そんなに急激に減少したわけではなくなる。

もう一つは、
生体情報認証システムによって不法残留者の再入国を阻止したことだ。
去年のブログには、
不法入国、不法残留で強制退去させられた人数は45,502人とある。
つまり、おととしは2万4千人不法残留者が増えたけど、
4万5千人捕まえて、正味では2万1千人減らしたことになる。
この増えた不法残留者には、
一度捕まったけど再度入国した人間が相当程度含まれているのだろう。
その再入国を阻止したことが、この結果につながっている。

今年の見込はどうだろうか。
退去させている人数が、摘発の困難さなどより、
入管や警察が処理できる能力で決まっているならば、
今年も2万6千人くらい減少させることは可能だ。
これが続けば、後4年で、不法残留者はほぼ0になる。
不法入国も含めた不法滞在者を0にする能力が証明できれば、
外国人労働者の雇用や観光客の誘致をよりやりやすくなる。
日本の将来のために、入管警察はがんばって欲しい。

関連記事
不法残留者の摘発
不法残留者の経常的な減少

参照にした新聞記事
外国人の不法残留者11万人、5年で半減をほぼ達成
不法滞在外国人:5年でほぼ半減 今年1月13万人
不法残留者11万3000人=5年でほぼ半減−法務省
不法残留者、摘発や審査厳の格化で約5年間にほぼ半減
不法残留半減、11万人 不法入国も大幅に減少
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沸騰都市「東京モンスター」感想

2009.02.18 Wed

03:15:28

NHKスペシャル沸騰都市最終回「TOKYOモンスター」を見る。

なかなか、感想にまとまりがつかない。
東京が生まれ、住んでいる場所ということもあって、冷静に見れてない。
それはNHKの制作スタッフも同じだ。
他の都市と扱いが違う。
他の都市の場合は善し悪しは別として、異邦人からの観点だった。
その都市に初めて訪れた人の初見の感じを中心にして、番組が制作されていた。
それがその都市の一番の熱気を捉えていたのだと思う。
でも、東京は自分たちの住んでいる都市であり、異邦人という観点で見れてない。
だから、人々の熱気を捉えることに失敗している。
都市開発に力を注いでいる、三菱地所と森ビルの社長が出ていたが、熱さを感じない。

アニメはつまらない。
東京が誰の意志で拡張しているかわからないなどという話を、なぜ作れるのだろう。
馬鹿な事を言っている。
そんなの、東京都民を中心として、
東京に利害関係を持つその他の国民や外国人の意志に決まっているではないか。
一人一人の力は些細であっても、それがまとまることによって、
東京という大都市を動かしている。
他の大都市の場合も変わりないはずなのだが、それには気付かないのだろうか。

東京を、もっと実感を持って描いて欲しかった。
東京は大きすぎて、個人で把握する限界を超えているような所がある。
私だったら、他の都市と比較することで、その実感を目指した気がする。

ドバイのビル開発は驚異的だった。
世界のクレーンの3分の1が集っている風評も、もっともらしい。
東京のビル開発はどうだろうか。
ドバイと比較することで、東京のエネルギーが実感できるのではないだろうか。
たとえば、開発しているオフィスの床面積を比較してみる。
高層ビルの棟数や海の埋め立て面積を比較してみる。
そうすることで、何かが見えたのではないだろうか。
私の予想ではオフィスの床面積は東京の方が多いが、他は少いだ。

ロンドンは何を比較するのかが難しい。
流入している外国人の数を比較することはできるだろうが、
東京がロンドンよりかなり少ない結果が見えているので、面白みは足りない。

ダッカ、イスタンブール、ヨハネスブルクとの比較は、
東京の沸騰がこれらの都市の沸騰と性格が違いすぎて、困難だ。

サンパウロとの比較だったら、ヘリコプターとかヘリポートの数だろう。
個人所有のヘリコプターの数では、東京は全然足りてないだろうが、
全体のヘリコプターの数だったらどうだろう。
わからない。
本当に比較して欲しい。
ヘリポートの数も、東京の高層ビルの屋上は結構ヘリポートになっているので、
いい勝負なのだろうか。
サンパウロがヘリコプターに頼らなくてはならないのは、
そもそも交通渋滞がひどすぎるせいで、
東京でそういう比べかたをするのは意味がないけど。

シンガポールだったら、バイオ科学者の数で比べたらどうだろう。
数自体では、シンガポールは東京よりずっと少ないだろうけど、開発費だったらどうか。

番組の最後で東京の夜景が写っていた。
国際線のパイロットはニューヨークや香港よりも東京の夜景が美しいと言う。
この話はよく聞くけど、ちゃんと裏が取れている話なのだろうか。
そして、実際に夜景比べをしてみて欲しかった。
東京の夜景が美しいのは、たぶん都市の広がりが最大だからだ。
国際線のパイロットが見ているアングルからの映像によって、
それが実感できたのではと思う。

期待して見ていた番組なので、少し悪口になってしまった。
でも部分部分は面白い映像もあって楽しめた。
アニメは余計だけど、漫才は悪くない。
「関東屈指の大都市、東京」というのは笑った。

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NHKスペシャル沸騰都市「シンガポール」感想
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NHKスペシャル沸騰都市「シンガポール」感想

2009.02.17 Tue

03:21:20

NHKスペシャル沸騰都市「シンガポール世界の頭脳を呼び寄せろ」を見る。

なんか些細な部分が気になる。
シンガポールに引き抜かれた日本人科学者が、
造血幹細胞の発生する瞬間を撮影して、
natureに論文を受け付けてくれるように申し込む。
簡単に写真を取っているように見えて、凄い業績な感じがしない。
意味があったとしても、
たまたま実験した人がいなかっただけに過ぎないのではないだろうか。
ブレークスルーみたいな部分がなかった。
シンガポール政府の圧力で、頭を使うよりも、
手を動かして業績を作っているだけだ。
当然のように、論文は蹴られてしまう。
そんな風に解釈したくなるので、
もう少し何が凄いのか番組内で説明して欲しかった。

シンガポールのバイオ関連の科学者の呼び寄せは成功するのだろうか。
番組を見たかぎりでは、金で人と設備を持ってきてるだけだ。
あれではシンガポールに科学技術が根付かない。
3年ごとに実績を挙げなければ、呼び寄せだ科学者の首を切るのも、
刹那的な研究を促進しそうだ。
呼び寄せた科学者がシンガポールからいなくなっても、その研究分野において、
シンガポールが業績を挙げ続けることができるようなしくみを構築できたとは、
到底思えない。
実績を挙げた科学者がいなくなれば、何も残らない。
さらに、大きな観点から考えると、
バイオは科学技術への投資として有効なのかどうか。
アメリカも随分バイオ関連に予算を投じているけれど、
それに見合った産業上の成果は挙げていない。
シンガポールの投資が実益をもたらすかどうかは疑問だ。
こんなんで、最終的にGNP増やすことができるのだろうか。

番組全体として見れば、いかにもシンガポールらしい活動でいっぱいだった。
外国人労働者は経済の調整弁と言いきれる首相はたいしたものだ。
遊びがなく、ひたすら経済優先の政治を貫ぬいている。
だからと言って、ああいう社会に住みたいかというと、全然そんな気はしない。
小国とはいえ、500万近い人口を持つ国だ。
上から押しつけているだけの政策では国民は息が詰まる。
歯車が狂った時の回復も難しい。

批判は言ったが、シンガポールは国家というより、
一つの会社として成長していくだろう。
それだけの力を持っている国だ。
問題はやはり国民の欲望を満たせるかだ。
まだ、十年や二十年は持ちそうだが、
国民も単純な経済成長のみを歓迎する期間はもうそんなに長くない気がする。
しょせん、人は自分たちのしたいことしかできない。
蟹は自分の甲羅に合わせて穴を掘る。
自分たちのもっとも欲しいもの、そういう産業に集中するのが正しい。
人口が少ないことは、ある一点に集中できることだ。
シンガポール人のしたいことって何だろう。
そうか、シンガポール人にとって、もっとも関心があるのは長寿なのか。
だから、医療産業に集中する。
不老不死という人間古来の夢を目指すというのも悪くはない。
そんな風に考えるならば、科学者の使い捨てみたいなのもありなのか。
自己完結だが、納得してしまった。

昨日の時点でだいたい書きあげていたのだが、
あまりにも眠くなってしまって一日伸ばしになった。
東京の話はまとまりがつかなくて、さらに明日だ。
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「中国膠着」感想

2009.02.14 Sat

20:44:50

森一道(もりかずみち)著
『中国膠着 「高成長」を強いられた国家の行方』を読む。

正直読みにくい本だった。
不明確な主張、独自の理論、理論の説明不足、
関連性のあまり見つからない各章などで読みにくい。

また、展開している理論も私には納得できない。
しかし、納得できない部分に突っ込むことで気が付いたことも多く、
よく知らない事実もあって、そういう意味で有意義だった。

不明確な主張と述べたが、一番言いたいことは、
中国が安定のために高成長し続けるという部分だろう。
サブタイトルになっているのが、その証拠となる。
この主張は中国の高成長が内需中心であって、
外需に依存していないという理論に裏付けられている。
だから、アメリカの金融危機によって、
外需が急速に落ちても高成長できるというのだ。
中国の貿易黒字が、基本的に外国資本による、
低賃金労働者の組立産業のせいだというのは、多くの人が同意する。
問題は、それらの産業は中国にとって単なる出島であって、
中国本体の内需とは無関係という主張だろう。
外資による組立産業は膨大な中国人労働者を雇っている。
その中国人労働者に渡される給与が内需を支えているのではないだろうか。
それと、外国資本による投資だ。
そこらへんの説明があって、しかるべきだと思うのだが、その説明がない。
P48では、外需が減った場合、
内需は大幅に落ち込むことはないと主張しているが、その理屈がわからない。
過去の実績から見るととあるが、そこらへんの分析が不十分に見える。

私には、中国の内需の拡大の最大の要因は、
輸出産業が労働者を吸収することによって、
労働者の所得が増えていくことが、
中国の内需の増加の最大の要因に見えてしかたがないのだ。
逆に言うと、輸出産業の労働者の首を切れば、内需は落ち込むように見える。
もちろん、今回の金融危機が中国の成長を止めるかどうかは別の話だ。
中国の膨大な貿易黒字を政府が投資することによって、
8%の成長を達成するのはできるのではないかと私は思っている。

作者は中国が安定のために高成長を強いられているという。
私は逆に中国は安定のために低成長にしているのだと思う。
低成長というのは、ここ数年の10%以上の成長のことだ。
これが低成長というのは、
膨大な貿易黒字とインフレが起こっていない状況からだ。
中国はエンジンフルスロットルで回せば、もっと高い成長をすることができる。
それができないのはボディ、社会構造が持たないからだ。
中国政府がインフレを嫌うのは、インフレによる社会構造の変化を嫌うからだ。
だから、インフレを抑えるために、為替を元高に誘導し、
農村から都市への人口移動を抑制している。
最低賃金を上げていることも、その一つの現れに見える。
最低賃金を上げるのがインフレの抑制につながるかと言うと、
外資はその規制を嫌うから投資が減り、雇用が増えない。
そうすると、今外資で働いている労働者以外の賃金は上がらない。
インフレ抑止になる。
外資で働いている賃金は上昇するので、
内需はそれほど減少しないだろうというのがいい所だ。

この本の中で書いている独自の理論には、
所得格差の拡大の理由付けの部分がある。
P99で都市内部の格差拡大をグローバル化、CtoCに求めている。
この理屈がよくわからない。
グローバル化がCtoCというのもよくわからない。
ここで言うCtoCというのはBtoCとかで使われる用語と同じで、B
が企業、Cが顧客となる。
だからCtoCというのはネットオークションみたいな物を指すのだが、
これがグローバル化と結びつく理屈がわからない。
そこは無視しても、
グローバル化による都市内部の所得格差拡大説明が納得いかないのだ。

都市内部の格差拡大は私には次のように説明できる。
外資による輸出産業が沿岸部に成立することによって、
都市住民の所得は上昇していった。
また、都市の上層部は管理者的な仕事を任せられ、資本の取り分も手に入れて、
所得が中国のレベルでは圧倒的に高くなる。
しかし、都市の賃金の上昇は、他の地域や農村部にも知られるようになる。
結果、人口の移動が起こり、都市の組立産業の労働者の賃金は上昇しなくなる。
この現象が格差の拡大を招いているだけではないだろうか。

悪口ばかり書いてしまったが、最初に述べたように発見な部分もあった。
中国には、
全国にまたがった日本のスター誕生みたいなオーディション番組はないそうだ。
正確にはあったけど、危険だということで当局が禁止してしまった。
中国共産党は、国全体がまとまってなんらかの意志を表示するのを怖れている。
それらもあって、中国が大衆社会ではないというのは、非常に面白い指摘だ。
交通網の整備が遅れているのも、それが理由かもしれない。
できるだけ、人口流動を抑え、国全体としての意志を持たないようにし、
地域でまとまらせる。
それが、農村から都市への人口移動を抑える理由か。
昔わからなかった疑問の一つが解けた。

簡単に中国経済の実態を知りたいという人には勧めないけど、
より深く知ろうとする人にはいいかもしれない。
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