異をとなえん |

「沸騰都市 ヨハネスブルク」感想

2009.01.26 Mon

02:30:36

沸騰都市、えらく長い間を置いての再開。
ヨハネスブルクとまた微妙なラインをついてくる。
正直いって、単純に都市を拡大するよりも、
前回の都市のその後を見たい気がしてならないのだが、
制作の都合上、そうはいかないんだろうなぁ。

今回の内容は、アパルトヘイトが停止して以降、中産階級にのし上がった黒人たちの物語。
彼ら彼女らは、「黒いダイヤ」と呼ばれ、中産階級というより、十分上流階級に見える。
特に政権に密着している人間は、その感が強い。
女性でマンガン鉱山の持主は、なんというかひどい感じ。
最初に今後のマンガンの価格動向について質問をしたときには、
撮影用のやらせの質問かと思ったのだが、後の話を見ると本当っぽい。
マンガンの価格動向の未来予測を、取材がある時に部下に聞くオーナーってどうよ。
普通のオーナーは毎日価格チェックをしつつ、今後の需要供給について、
頭を悩ましているもんじゃないのか。
不思議に思っていたら、なんてことはない、
政治活動をしていた人間への優遇措置として、
マンガン鉱山の権利を貰った人間というだけだた。
明治維新の時の武家の商法を思い出した。
投資資金が足りず、まだ生産を始めてもいないのに、
自分たちの仲間である株主に多額の配当をしているし、
なんかダメダメな感じだ。
苦労しないで手に入れた金は簡単に失うと、その女社長をいっていたけど、
言うのは簡単なんだよな。
自戒の念をこめて、そう思う。

南アフリカは資源がたくさんあって、ある意味何もしなくても金が手に入る。
鉱山業自体は、もちろん能力が必要だが、
それに税金をかけたり、あるいは今回の話のように特権を与えることで、富を分配できる。
不幸なことだ。
あぶく銭はいいことをもたらさない。
日本に資源がなかったこと、水とか大事なものはいっぱいあるけど、
そういう資源ではなくて、他国に売るこたができる資源があまりなかったことは、
本当に運が良かったと思う。

NHKスペシャル|沸騰都市(全8回)

NHKの番組紹介を見ると、後半4回の都市は、
ヨハネスブルク、サンパウロ、シンガポール、東京だ。
前に私が予想していた、
凡庸な上海、モスクワ、ニューヨーク、東京に比べて斬新な気がする。
特にサンパウロは、なぜ選んだがよくわからなかったけど、紹介を見ると、
ある意味交通問題をヘリコプターで解決しているみたいでちょっと驚く。
多くの人間の移動には使えないだろうけど、金持ちにはそれで十分なのか。

全体として、世界で沸騰している地域という話になっていて、
都市の部分が弱いと感じるけど、残り3回楽しみたい。
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「疑惑」感想

2009.01.25 Sun

00:38:46

今日テレビで放送していた、有名な映画版のリメイク作品。
弁護士の役を岩下志麻から田村正和に変更している。
性別の変更は、よくある変更だが、これはありだと思った。

そして、テレビ欄に真犯人を変更するとあったので、
あの話をどう変えてくるのか興味を持って見守っていたが、
真犯人は変わっていなくて、拍子抜けした。
しかし、映画版の真犯人を、テレビ欄を書いた人は、
今回と違うと思っていることに気がついた。
私はそう解釈していなかったので、新鮮な驚きだった。
映画版は真実は藪の中で、はっきりしない所が味で、それが良かった。

今回は物語をきちっと解決させ、救いをもたらすような終幕にしている。
陳腐な感じがするので、今一つ評価できないが、これはこれで良しなのだろう。
実際、きちんとドラマを見るなんで久しぶりで、かつ緊張感を持って楽しめた。

田村正和の演技が古畑任三郎を引きずっていて、
新しさを感じなのが不満だが、
映画版、テレビ版、両方を比較して鑑賞する価値がある。
テレビ版で初めて見た人は映画版も勧めたい。
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キマンダが飛んだ

2009.01.23 Fri

20:00:27

独メモリーチップ大手、キマンダが破産申請

ドイツのDRAMメーカーキマンダが破産申請をした。
世界のDRAM全メーカーが赤字の中、チキンレースを演じていたが、
ようやく一つ抜ける感じだろうか。
でも、政府の援助があったりするから、そう単純でないのが怖い所だ。
相変わらず、先は見えない。
日本唯一のDRAMメーカーエルピーダも状況は苦しい。
台湾企業との統合話は、いったいどういう関係になるのか見当もつかず、
謎なことおびただしい。

キマンダは破産申請間際に政府から資金を貰っていたし、
韓国台湾のメーカーも政府から資金を融通されている。
政府が金をつぎこんでいれば、通常の市場競争は成り立たず、
政府から援助を受けていない所は苦しい。
そのメーカーであるエルピーダは苦しいだろう。

この混沌の先はまだ見えないが、唯一言えそうなこととして、
韓国は2社国内にメーカーを持っている。
その内の一つハイニクスは体力が弱そうだ。
政府の資金援助で存続させるならば、2社持っている事は無駄だ。
ハイニクスはサムスンに吸収されるか、倒産せざるをえないのではと思う。
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ポンドの暴落

2009.01.23 Fri

02:45:46

ポンドの暴落がここに来て顕著になってきた。

ウォンの暴落、そして - 世界経済が悲鳴を挙げている(その2)

で考察したように、
イギリスに通貨危機が発生すれば今回の不況に大きな影響を及ぼすだろう。
イギリスが危機対応のために引き締め政策に転換すれば、
他の中小諸国はそれに習うしかない。
世界の需要減少がとめどなく進みそうだ。
それは勘弁して欲しい。

今後の考察のために、幾つかリンクしておく。

焦点:ポンドの下落が加速、通貨危機を懸念する声も

イギリスにアイスランドのソフト・オプションは採れません

真剣にやばいだろ

グレート・ブリテン
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アメリカのバブルの真因

2009.01.22 Thu

01:18:44

アメリカのバブルの真因は何かを考えている。

基本的に、私は政府が何かを実行すれば、景気が良くなるとかいうことを信じない。
政府の介入は望ましくないと思っている。
ただ、政府はその国の中で最大の支出の主体である。
景気に大きな影響を与える。
しかし、それは景気対策とは関係なく実行されるものであり、
本質的に大きな事業体というだけだ。
効率的に運営されているかどうかは重要だが、
総額がどうかなどは別の話だ。

今回の経済危機でも、政府が何かをして、景気が回復するなんてのは信用しない。
だた、それでも理論的に景気が回復する可能性について考えると、
バブルの真因が気になってくる。
つまり、理屈の上では景気は回復するのに、
そうなっていないのは別に真の原因があるからだという仕組みだ。

今回の危機による停滞が、もし何年も続くとしたら、その原因は何だろうか。
一番最初に思いつくのは、単純に今のアメリカの繁栄をそのまま延長したら、
石油の値段が上がり過ぎてしまうことだ。
ガソリンをがぶ飲みする車で、郊外に住宅を建設する生活様式、
それが限界に近づいたのではないか。
前に「アメリカのガソリン価格と住宅価格の関係は?」で述べたように、
石油の価格が上がり続ければ住宅の価格は下落しないのがおかしい。
それが今回の危機の本当の原因ではないだろうか。

つまり、アメリカの繁栄を支えるためには、原油が安価に提供される必要があったが、
実際は供給が逼迫して、それができなかった。
その結果、住宅価格が下落して、全てのメカニズムが狂ってしまった。
現在、原油価格は下がっているが、ある意味一時的なものだ。
また、上がるかもしれないという危惧は、あらゆることに影響する。
自動車は買い控えする傾向が強まるし、郊外の住宅価格は下がり続けるだろう。

前の石油危機の時には、時間が十分経つと、厳しい時のことを忘れた。
当分上がらないという確信が経済の復活に寄与した。
今回はそうなるかどうか、わからない。
新興国の成長が石油価格の下落の邪魔をしそうだ。

これが今回の不況の真因だとしたら、景気の回復は一二年では無理だ。
自動車経済の改革をするとしたら、十年、二十年の話になる。
ガソリンを使わない電気自動車等に移行するか、
それとも日本みたいに鉄道を重視した交通システムに移行するか、
どちらにしても、社会システムを含めれば、本当の変換には十年、二十年かかる。
その間、経済の低迷を続いていく。

本当に変わるとすれば、今までの投資は継続できないし、
どう変換するか確信を持てなければ、新しい投資を始めることはできない。
第二次石油危機後のアメリカ経済の低迷が十年ぐらいで済んだのは、
石油供給の改革によって、結局変換が必要なくなったからだ。

今回はどちらなのか。
グリーンディールが提唱されるように、当分は自動車文明を改革しようとするだろう。
根本的な改革をするのだから、低迷は十年続く。
金融政策、財政政策は関係ない。
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「目利き」は重要

2009.01.20 Tue

02:31:09

ああ、どうにもやる気にならない。
読売にあった科学技術開発の目利きについての記事のリンクをはっておく。

(2)原石の発掘 「目利き」次第 : 科学立国の明日 : 政治 : YOMIURI ONLINE

記事の中では目利きがブームになっているそうで、
日本の科学技術もそれなりに進歩している感じで期待が持てる。
評価する人間が重要だということについては、そのうちきちんと書きたい。
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「日本近世の起源」感想

2009.01.17 Sat

19:15:21

渡辺京二著「日本近世の起源 戦国乱世から徳川の平和(パックス・トクガワーナ)へ」を読む。
「逝きし世の面影」で俗にいうネット右翼の間で名高い作者の本だ。
洋泉社MC新書として、復刊された本を読んでいる。
「逝きし世の面影」の直接の続編として、平和な江戸時代がなぜ成立したかを、
中世の時代がどんなものであったかを描くことで、教えてくれる。

ぱらぱらっとめくっただけでは、引用の多い散慢な本かとも思えるが、
最初からきちんと読んでいくと、
明確な意思に基づいた、はっきりとした主張のある著作ということがわかる。

まず、読んで衝撃を受ける。
戦国時代はNHKの大河ドラマが牧歌的に描いているような世界ではない。
血腥い凄惨な世界だ。
大量の死にあふれ、戦争に負けた側の民が外国に奴隷として売られる、
貧困がそこらじゅうで目につく、
そういう悲惨な社会の様相を説得力を持って描いていく。

そして、なぜ、そのような社会が生まれたかを明らかにする。
自由がないのではなく、自由がとてつもなく溢れた社会としての中世だ。
ありとあらゆることが、当事者の責任に委ねられていく。
鎌倉時代の裁判が現代のアメリカの裁判に似た、当事者主義に立ち、
判決は真実を明らかにすることではなく、
当事者の間の法廷での戦いの勝敗を判断するものに過ぎない。
しかし、鎌倉時代の裁判はアメリカの裁判とは違う。
刑の執行すら当事者たちに委ねられている。
双方で土地を争った場合、ある方に土地の正統な権利があると認められたからといって、
裁判所がそれを守ってくれるわけではない。
その土地を守るのも、取り返すのも、当事者自身で行なわなくてはならないのだ。
ここまで、行ってしまうと裁判の意味がない。
当初意味を持っていたと思われるのは、
判決の正当性によって当事者が従っていたからだろう。
時代が下るにつれ、簡単にいうことを聞かなくなってくる。
争いが増加していく。
鎌倉幕府は私戦を何度か禁止するが、止めることができない。
裁判の判決を保障しないのだから、当然ともいえる。

室町時代に突入して、
この正義を自分たちで実現する、あるいは実現するしかない社会は極まっていく。
正義の執行者は、とめどもなく解体されていき、村のレベルに落ちていく。
村々は自分たちの山や川を守るために武力に訴えざるをえない。
妥協や取引をすることができない。
どのような契約も、それを保障するものがなく、結局は実力行使に走ることになる。

そのような、権力の解体が行き詰まった地点として戦国時代がある。
しかし、それは同時に新しい世界の発端ともなる。
その当時の人々は、悲惨な生活の中で、平和を心の底から求めていった。
そして、領主にそのことを要求していく。
結果として、領主は領域の平和を守れるからこそ、領主であり、
そうでなければ替えられるべきだという思想が生まれる。
その思想は領主にも農民にも浸透し、徳川の平和として結実する。

以上が私の読みとった本書のメインテーマであり、
私は心から納得してしまった。
本書の最後の方、九章の結びの言葉は感動的である。


領主は領国のうちに平和を実現すべき責任があるという、一五世紀に生まれた政治思想が、一六世紀にはひろく地下衆に浸透し、戦国大名の国家理念となって、ついに秀吉の統一国家を実現し、徳川の平和として現実に実を結んだのは、村々や町々に築きあげられた共同という社会的基礎があってこそだった。徳川の平和とは村々や町々に充ち溢れた豊かな生命の光であり、そのことは徳川の世が深まるにつれて明らかとなったのである。
(P303)


このメインテーマを中心として、作者の思想的な部分もところどころある。
たぶんに江戸時代の平和を愛する作者は、
それを貶めようとする今までの日本の歴史学に対して非常に不満を持っていて、
その批判が本書のところかしこに出てくる。
「逝きし世の面影」にはあまりそういう部分を感じなかったので面白い。

また、一向一揆の実相を描いている分では、
親鸞が取りあげられていれ、その思想解釈の部分は興味深い。
本編と直接関係ないながらも、作者の思想の一端が出ている感じで、
本書の解説にも取りあげられているほど印象的だ。

図書館で借りてきた本だが、
常時参照できるように購入したいと考えるほど魅力的な本だった。
後、ブログを書く際に書評等を検索したのだが、
下記によると熊本日々新聞夕刊で連載をしているらしい。

渡辺京二「黒船前夜」連載開始!

「黒船前夜」というこのシリーズの続編に当たる。
本として発行されれば読むのが楽しみである。

最後に目次を挙げておく。

序章 日本のアーリイ・モダン
第一章 乱世とは何か
第二章 乱妨狼藉の実相
第三章 武装し自立する惣村
第四章 山論・水論の界域
第五章 自力救済の世界
第六章 中世の自由とは何か
第七章 侍に成り上がる百姓
第八章 一向一揆の虚実
第九章 領民が領主を選ぶ
終章 日本近世は何を護ったか
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