異をとなえん |

「マルドゥック・スクランブル」感想

2008.07.22 Tue

15:02:25

冲方丁(うぶかたとう)著「マルドゥック・スクランブル」を読む。

三巻約1000ページの作品が一気に読めたのだから、
面白かったのだろう
しかし、読み終わった後の感動が少いように感じる。
読後感がそれほどでもない。
なにかが違うように感じるのだが、それがよくわからない。

作品は虐げられた少女の復讐の物語だ。
けちをつけようと思えば幾らでもつけられる。
キャラクターの造形が類型的だ。
時々混じる世界観みたいな話に説得力がない。
というか、本筋と関係なく飛ばし読みしかできない。
宝の奪い合いが作品の筋の基本なのだが、
宝の重要性がぴんと来ない。

ただ、それが感動できない原因かというと、そうでない。
微妙だ。

幾つか書評を読んで少しわかった気がする。
かなり歪んだ人間達の物語であるにも関わらず、
出たきた価値観が非常に普通であることが不満なのだ。
いや、逆か。
出てくる答が物凄く普通だから、狂った世界や人間にしないと、
バランスが取れないのだ。
普通の世界、人間だと、とても普通の作品になってしまう。

結局、私は「殺さない、殺されない、殺させもしない」
という価値観にあまり共感しないだけかもしれない。
綺麗事すぎる。

価値観云々を別にすれば、印象的な場面はある。
ブラックジャックの最後の場面は
読み返してみると作り物すぎる感じはあるが格好いい。
敵役との最後の対決の場面もなかなかな感じがする。

読む価値はあった本だ。
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