異をとなえん |

ヒロシマ以前、ヒロシマ以後

2008.07.08 Tue

02:47:38

1945年8月6日、人類史上画期的な事件が起きた。
広島への原爆投下だ。
これを境にして、人類にとって始めて平和が常態となった。
もちろん、戦争はまだまだ続くが、核保有国同士の直接の戦いはなくなった。
人類史上、戦争を前提とした仕組みが少しずつ壊れていったのである。

核兵器の開発後も、人類はまだその力の意味をよく理解できなかったと思うが、
水爆が完成し、朝鮮戦争・ヴェトナム戦争と熱い戦いが続いても、
核兵器を使用できなかったことから、核兵器が使えない兵器だということが、
わかってくる。
抑止理論が構築され、恐怖の均衡が実現した。

抑止理論は、核兵器による第一撃をくらっても、
報復核攻撃でそれを上回る被害を敵に与えられるならば、
敵は核の使用をあきらめるという理論だ。
この理論はそもそも成り立っているか疑問がある。
戦争をなんらかの死活的利益を守るために行なわれるのではなく、
単に相手国が自分たちを殺すためにだけ戦争を起こすというのは、
あまりにも脅迫的観念に満ちた世界だ。
しかし、この相手国を悪魔と決めつけた戦略理論は、
理屈の上では確かに核戦争を抑止できるし、
実際に一度も核保有国同士での核戦争は起こらなかった。

核保有国同士で核戦争が起こらないということは、
通常戦争も起こらないということだ。
通常戦争での勝利は核による報復によって、
簡単に無効化される危険が大きい。
つまり通常戦争の勝利は無意味だし、
結局通常戦争自体が無意味ということになる。
中ソ紛争は仲があまりにも悪く戦火を交わしたが、直ちに停止している。
エスカレートする事をどちらの国も恐れている。
インドとパキスタンは互いが核兵器を保有することによって、
戦争は起こらなくなった。

通常戦争はまだ続いている。
その場合、少くとも一方は核兵器を保有せず、核兵器国との同盟もない国だ。
つまり、イラクみたいに、核兵器を開発できない遅れた国か、
核兵器国の後ろ盾もないのにケンカを売る馬鹿な国だ。
そんな国は今後少くなっていく。
つまり、戦争は確実に減っていき、なくなるだろう。

核兵器によって平和が生まれたことで、世界の仕組みは確実に変わってきている。
国家が戦争と共に生まれた事を考えると、国家自体の存在意義も問われてくる。
国家を当然の前提とした過去の知識が役立たない場面が増えてくるだろう。
日本は国家ではない
で述べたように、
平和を前提としたリーダーシップが強力でない日本のような国が、
普通の国となる。
EUみたいな超国家も、国の意義が小さくなっていることの現れだ。
移民が増え、二重国籍の保有者も増え、
民族国家と呼べる存在が少なくなっている。
これらはすべて、平和を常態としたヒロシマ以後の世界のありかたなのだ。
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