異をとなえん |

インフレは続き、そして

2008.07.29 Tue

03:01:20

原油価格の上昇はまだ続く
で、私は石油価格は上昇し続けると予想した。
現在石油価格は下がっている。
その状況を踏まえて、もう一度考えを整理してみた。

まず、石油の値上りとサブプライムローン問題が発生する前、
世界経済は微かなインフレという理想的状況にあった。
これは、東欧諸国と中国の労働者が世界市場に参加した事によって、
賃金が上昇しなくなったせいだと言うのが、私の解釈である。

ウォルマートの状況
で見たように、アメリカ企業は労働を単純化する事で、
中国に労働市場を開放する事に成功した。
単純労働者の実質賃金は成長せず、結果インフレは停止した。
ヨーロッパも東欧諸国の労働者を取り込む事で基本的に同じ図式だ。

しかし、中国の労働力は枯渇しつつあり、
そのため中国ではインフレが発生している。
参照 中国でインフレが起こらなかった理由(中国経済の転換点-その1)
アメリカは、ほとんどの製品を中国から輸入している以上、
インフレは伝播する。

アメリカはインフレで苦しくなっている。
その上、ガソリンの上昇やサブプライムローン問題の危機で、
消費は減って当然なのだが、それほど減ってはいない。
理由はアメリカの政策減税だ。
アメリカの各家庭に送られた小切手が消費の減少を抑えている。

結果、伸びは鈍っているが中国の輸出は減っていない。
原材料の値上がりに伴い、貿易収支の黒字は減少しつつあるが、まだ黒字だ。
つまり成長を続けることができる。
賃金は上昇し続けるから、インフレは止まらない。
アメリカに輸出する製品の価格は上がり続ける。
石油の輸入も増え続ける。

中国の石油の輸入が増えているのだから、
たぶん全体としての需要は減らない。
力が弱い国の需要は減っても大勢に影響はないという考えだ。
結局石油の価格は上がり続ける。

しかし、140ドル台までいった石油の価格は、120ドル台まで下がった。
この傾向は続くのか。
結論から言えば、短期的にあまりにも上がり過ぎたための調整に思える。
中国の成長が続くならば、結局上昇傾向に戻るだろう。
代替エネルギーの開発により、石油自体の価格の上昇がストップするには、
もう少し時間がかかりそうだ。

結局、アメリカのインフレは続く。
減税や金融緩和政策が続けば、消費はなかなか減らない。
減税が実行できるのは、アメリカ国債が順調に売れているからであり、
アメリカ国債が売れているのは、
中国がペッグ政策の元でアメリカドルを買い支えているからだ。

このスパイラル状態に終止符を打つのは、最も弱い鎖の部分だ。
私は、ドルのペッグ政策が最も弱い部分だと思う。
アメリカがみすみす不況になるのを我慢して、
金利緩和政策や財政支出の拡大を辞めるなんてのはありそうにない。
そうすると、インフレに我慢できなくなった中国や中東産油国が、
ドルのペッグ政策を停止するのが一番ありそうだ。

1980年代の中南米の債務危機にしても、
1990年代後半のアジア諸国の通貨危機にしても、
為替市場への投機によって顕在化した。
その図式は変わらない。
政策担当者が目前の危機を防ぐために、
通貨価値の維持に目を瞑るからだろう。

中国や中東産油国のドルペッグ制の廃止が何をもたらすかはよくわからない。
しかし、ここから新しい時代が始まる気がする。
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韓国のちょっと面白かった記事

2008.07.28 Mon

02:31:07

夏バテで頭が回らない。
ネットをうろついて面白かった記事をリンクしておく。

【韓国】ろうそくデモのおかげで・・・:イザ!

韓国がろうそくデモをすると、日本の輸出が増える。
韓国では、ろうそくを作っていないのだろうか?とか、
ろうそくなんて必需品じゃないから普通?とか思う。

全体としては皮肉だ。
竹島問題でろうそくデモをしろと煽ってやりたくなる。

あれ、竹島問題でろうそくデモ既にしていたっけ?

韓国国定歴史教科書

韓国の高校の歴史教科書抜粋。
韓国の歴史教科書に白村江の戦いが出てこないのは、一つの不思議な気がする。
日本を大陸から追い払った歴史的意義のある戦いと捉えなくても、
日本をコテンパンに叩きのめした、たぶん唯一の戦いなのに。
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「ウォルマートに呑みこまれる世界」感想

2008.07.26 Sat

23:09:56

チャールズ・フィッシュマン著「ウォルマートに呑みこまれる世界」を
ざっと読む。
アメリカは、やはり何かが間違っているのではないかとの感を強くする。
その後読んだ、
日テレブックスが出している「未来創造堂 未来を切り拓いたモノ創り」が、
日本の素晴らしさを教えてくれるのとは正反対だ。

目次は次の通り。

第1章 ウォルマート・イフェクトの脅威
第2章 サム・ウォルトンが釣り上げた大きな魚
第3章 父と娘でつくった大ヒット商品
第4章 ウォルマートの強大な圧力
第5章 ウォルマートに"NO"と言った男
第6章 私たちはウォルマートについて、いったい何を知っているのか
第7章 「いつも低価格」の裏側で何が起きているのか
第8章 1セントの節約は、1セントの儲け
第9章 ウォルマートと健全な社会

ウォルマートは世界最大の小売企業で世界一の売上高と世界一の従業員数を誇っている。
この本はウォルマートそれ自体よりも、
ウォルマートのその大きさが社会に与えている影響を描いている。

ウォルマートは"everyday low price"というモットーのもとに、安売り戦略を続け、
アメリカの大都市以外の地域でほぼ独占的な販売者となり、
ウォルマートに製品を卸しているメーカーのほぼ独占的な購買者になっている。
この結果社会にいろいろと歪みを与えている。

ウォルマートは毎年毎年メーカーにコストの引下げを要求している。
これ自体は問題ない。
資本主義経済の企業として当然だ。
問題なのは、メーカーがコストの引下げを行うために品質を落としていることだ。
正常な市場ならば、価格の低下に見合わないほど品質が劣化したならば、
その製品は売れなくなる。
しかし、ウォルマートは地域でほとんど独占しているので、
消費者は品質の低下した製品を受け入れざるをえない。
この結果、消費者は損をしているし、メーカーも品質を低下させるということは、
付加価値を低下させている事だから、より貧しくなっていく。

さらに、メーカーにはコストの低下を常に要求しているので、
最終的には生産コストが最も安い国に生産を持っていくしかなくなる。

ウォルマートの世界だけを見れば、サービスが低いので従業員の賃金は安く、
メーカーの従業員はアメリカから中国に行ってしまう。
アメリカ国民は貧しくなっているだけだ。
もちろん、ウォルマートとメーカーの利益は出ていて、
その利益がアメリカに還元されているのだがら、
アメリカ全体では得になっているのだろう。
しかし、格差は拡大し続け、アメリカの賃金と中国の賃金が一致し、
生産が移管できなくなるまでアメリカのメーカーの従業員は賃金を削られ続ける。
これでは、世界全体の利益は増えていても、アメリカ国民はうれしくないだろう。

結局、ウォルマートはアメリカの付加価値を付ける力を減らし続けている。
最初に書いた「未来創造堂 未来を切り拓いたモノ創り」で、
日本人が付加価値を増やし続けているのと正反対だ。
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限界集落で良かった記事

2008.07.25 Fri

19:38:03

限界集落で検索した所、下記の記事が良かった。
記録のためにリンクしておく。

限界集落へ / 西日本新聞

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「アダムの呪い」感想

2008.07.25 Fri

00:54:35

ブライアン・サイクス著「アダムの呪い」を読む。
前作、「イブの7人の娘たち」
の流れから、今度はY染色体を通した人類の歴史の話と思ったのだが、
なんか全然別の方向に進んでいく。

目次は次の通り。

プロローグ
第一章 サイクス家の起源
第二章 孤独な染色体
第三章 生命のリボン
第四章 最後の抱擁
第五章 性と性染色体
第六章 男性が誕生するまで
第七章 魚に教わる性のヒント
第八章 性は必要
第九章 理想的な共和国
第一〇章 性の解釈
第一一章 性別
第一二章 ふたつの戦線
第一三章 必死の説得工作
第一四章 世界の男たち
第一五章 ヴァイキングの嵐
第一六章 武将サマーレッドのY染色体
第一七章 偉大なるチンギスハーン
第一八章 古い学校名簿
第一九章 トレーシー・ルイスの十一人の娘たち
第二十章 罪なき者の虐殺
第二一章 暴君の台頭
第二二章 タラ一族の精子
第二三章 同性愛遺伝子
第二四章 ガイアの復讐
第二五章 呪いを解き放つ
エピローグ

前作がどちらかと言うと、人間の遺伝の話に焦点を絞っていたのに対して、
今作は、まず遺伝学の初歩から始まって説明していく。
知らない事がいろいろあって、結構面白い。
遺伝子の組み替えは特別な現象というイメージがあったのだが、
そうでない事を知り、私は既に時代に遅れている事がわかった。
また、なぜ性があるかなどの説明も感心した。

そして、人間のY染色体を使って男系の家系図を描いていく。
チンギスハーンの遺伝子が1000万近くまで膨張しているのは興味深い。
日本人だと、どうなるかを知りたく思う。
日本人のY染色体の分布の本なども出ているのだが、
それは家系と結びつけていないのが残念。

そして、ここらへんから話がずれていく。

Y染色体がアダムの呪いと呼ばれて、
戦争とか支配とか全ての元凶のように描かれるのだが、
無理があるのではないだろうか。
性別による差別みたいな話だ。

また、Y染色体は自分の遺伝子を広げるために、
男性の誕生を促進するとか言うのは論理があいまい過ぎる。
生まれてくる子供の男女の比率が違う事から、
何らかの選好システムはある。
ただ、それをY染色体と結び付けるのはどうか。
X染色体とY染色体以外の普通の染色体に、
どちらかの性を重視する結果を起こす遺伝子があるのかもしれない。
遺伝子だから、家系で依存する。
そういう可能性を潰すようなデータがないと詳しい事は言えない。

同性愛の遺伝子はX染色体上にあるとかの話も辛い。
同性愛は遺伝子で決まる単純な話とは私には思えない。
そこらへんを引っくり返す説得力がない。
その理屈を裏付けるには、もっとデータが必要だが、
そこらへんを全部落としている。

という事から、後半は退屈でお勧めしない。
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日本観光停止案

2008.07.23 Wed

21:16:59

日本が学校の指導書に竹島を自国の領土として扱うように方針を決めた所、
韓国でそれに反対する動きが活発化している。
いつもながらの情緒的な反応が主なので、日本側は気にもかけていない。
しかし、日本への観光客を停止する措置が、
ありうるのではないかと私は妄想してみた。

日本観光停止案は、韓国が国民に対して日本に観光で旅行する事を規制し、
日本が指導書への記述を撤回するならば、その規制を解除しようという案である。
日本が要求を拒絶する事は確実と思われるので、
日本観光停止はかなり続く事になる。

韓国にとって日本観光停止案の得失を考えてみよう。
得になるのは、まず第一に国際収支の改善である。
現在韓国は石油等の原材料価格の高騰によって、
国際収支が急速に悪化している。
ドル安傾向の国が多い中で、逆行してドル高になっている唯一の国かもしれない。
韓国政府は、ドル安を放置するとインフレ原因になりかねないので
為替介入を実行しているが、
なかなか成果を出せないでいる。

特集:増大する韓国人旅行客

上記のリンクの
「過去10年の訪韓外国人旅行者及び韓国人海外旅行者の推移」のグラフを見ると、
2006年の外国人旅行者数が616万人、海外旅行者数が1161万人となる。
単純に考えて、545万人の韓国人海外旅行者で84億8900万ドルの赤字となったとすると、
2007年の日本への旅行者260万人が消えれば旅行収支の赤字の半分近くが消えて、
約40億ドルの改善要因となる。
外貨準備を減らしての為替介入よりは効果があるだろう。

二番目に、日本への嫌がらせになる。
2010年観光客1000万人を掲げ、達成確実と思っている状況で、
韓国人観光客260万人の喪失は衝撃だ。
観光業にとっては辛い事になる。
日本が大きな打撃を受ける事は間違いない。
韓国にとって、それは嬉しい事のようだ。

三番目に、可能性は少いが日本側がなんらかの譲歩をする事が考えられる。
もし成功したならば、支持率が急落した李政権としては大きな得点だろう。

損はいろいろある。
まず、日本への旅行を既に予約している人々には不満が当然残る。
キャンセル代も馬鹿にならない。
ゴルフやスキーみたいに近場だから旅行していた人には、
代替となる国はない。
しかし、反日は大義名分であり、反対できる人はいない。
長期的には政権への不満を募らせるかもしれないが、短期的には問題ない。

二番目は航空会社、旅行会社の損だ。
韓国から日本の各地方への航空路線はほとんど韓国の航空会社が運航している。
韓国人の観光客がいなくなれば、どの路線も致命的打撃を受ける可能性がある。
また、韓国から日本への観光客は日本の観光業者だけでなく、
韓国側の旅行代理店を使っているはずだ。
そこらへんも、みんなパーになる。
ただ、これらは海外旅行を禁止すれば、必然的に起こる事だ。
反日を名目にした国際収支の改善なのだから、我慢するしかない。

三番目に日本側から報復措置として韓国への観光旅行を停止する可能性がある。
韓国から日本への観光客は約260万人、日本から韓国への観光客は約224万人だ。
報復措置が起こった場合もトータルでみると、赤字を減少させる効果をありそうだ。

日本側が報復措置を取らない、あるいは取れない理由は、
韓国を旅行しようとする日本人が文句を言うからである。
韓国と違って、旅行禁止措置に同意する事はない。
強行すれば、嫌韓的な人の支持は得られても、
福田政権自体の支持率は落ちる危険性の方が高い。

最後に、どこを落とし所とするかが問題だ。
竹島問題での譲歩を期待できないならば、日本観光停止はずっと続く事になる。
本当にそうする事ができるだろうか。
ずっと、続ける自信がないならば、日本が譲歩していないのに、
手を降ろす事になる。
韓国民にそれを説明できるか。
もちろん、ずっと日本観光停止だとの覚悟があれば、それほど問題ではない。

以上の事から検討してみると、日本観光停止案というのは、
韓国にとってそんなに悪くない政策に思える。
問題なのは嫌韓というより反韓的な動きが強まることか。
今まで、韓国の反日が実質的に日本に損害を与えることはなかった。
日本に痛みを与える事ができるようになると言うのは、
韓国の成長をもたらした結果であり、ある意味喜ばしい事だ。
しかし、それは日本も本気で韓国への外交姿勢を変換するかもしれない。
第二次世界大戦後というより、
日露戦争後から日本との協調を最も重要な外交姿勢としていた国にとって、
大きな逸脱となる。
李承晩時代の一時的な反日はあるが、
反中反北親米で反日というのは無理がありすぎて、実質的な意味はなかった。

今回の日本観光停止案というのは、建前だけの反日ではなくて実質的な反日と言える。
現在の親中親北の外交姿勢で反日路線に踏み込むのは、
輸入牛肉問題で反米的になっている事を考え合わせると、
西側からの離脱への決定的一歩になるかもしれない。
冒頭で述べたように私の妄想である事を願う。
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「マルドゥック・スクランブル」感想

2008.07.22 Tue

15:02:25

冲方丁(うぶかたとう)著「マルドゥック・スクランブル」を読む。

三巻約1000ページの作品が一気に読めたのだから、
面白かったのだろう
しかし、読み終わった後の感動が少いように感じる。
読後感がそれほどでもない。
なにかが違うように感じるのだが、それがよくわからない。

作品は虐げられた少女の復讐の物語だ。
けちをつけようと思えば幾らでもつけられる。
キャラクターの造形が類型的だ。
時々混じる世界観みたいな話に説得力がない。
というか、本筋と関係なく飛ばし読みしかできない。
宝の奪い合いが作品の筋の基本なのだが、
宝の重要性がぴんと来ない。

ただ、それが感動できない原因かというと、そうでない。
微妙だ。

幾つか書評を読んで少しわかった気がする。
かなり歪んだ人間達の物語であるにも関わらず、
出たきた価値観が非常に普通であることが不満なのだ。
いや、逆か。
出てくる答が物凄く普通だから、狂った世界や人間にしないと、
バランスが取れないのだ。
普通の世界、人間だと、とても普通の作品になってしまう。

結局、私は「殺さない、殺されない、殺させもしない」
という価値観にあまり共感しないだけかもしれない。
綺麗事すぎる。

価値観云々を別にすれば、印象的な場面はある。
ブラックジャックの最後の場面は
読み返してみると作り物すぎる感じはあるが格好いい。
敵役との最後の対決の場面もなかなかな感じがする。

読む価値はあった本だ。
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