異をとなえん |

「ハングルの歴史」感想

2008.04.16 Wed

18:02:48

「ハングルの歴史」を読む。
「ハングルの歴史」は朴永濬(パク・ヨンジュン)を始めとした4人の著者から成る本で、
訳したのは中西恭子、出版社は白水社、発行年月日は2007年4月10日である。

「ハングルの歴史」の原題名の直訳は「韓国語の謎」で、
ハングルというよりハングル語というニュアンスになっている。
韓国語に関する時代順の幾つかのトピックから成り立っていて、
よく理解するにはハングルを使いこなせるレベルが必要である。
ハングルをちょこっと勉強して、ほとんど忘れた私にはきつかった。

トピックスの題名には興味を引かれるものが多いのだが、
踏み込みが甘くて今一つである。
韓国の電波本を期待すると、危険そうな分野には全然踏みこんでこない。
たとえば、ハングルを使って法律勅令を表示しろといった勅令を、
ハングルにとって画期的と評価しながら、
その勅令が公布された1894年11月の時代背景については一言もない。
1894年11月は日清戦争で日本が清国をほぼ朝鮮から追い出し、
ソウルを占領下においている時期である。
嘘は書かないようにしているのだろうけれど、
真実とはほど遠いような気がする。

真面目な言語学の本としては、結論があいまいで、根拠が薄弱である。
たとえば、ハングルは他の文字の模倣なのかという面白いテーマがあるのだが、
各種の説を述べ、最後にモンゴル文字の模倣という説を紹介して、
いよいよ文字の比較が行なわれ結論が出されるかと思えば、
いきなりそこで終わってしまう。
本当は終わっていなくて、
日本の神代文字の模倣ではないという話が最後につくが、
ステーキを期待してカップヌードルを出されたような気持ちになる。

また、漢文を昔どう読んでいたかというテーマがある。
私は下記でちらっと疑問を呈していた。

韓国新政権の英語教育改革

本の中でも一章があてられているのだが、
そこでは口訣という日本の漢文のレ点のような物が
紹介される。
だから、漢字の部分は中国から取り入れた漢字音で発音して、
それ以外の部分は韓国語で補っていたのではないかと私は思う。
ただ、本の中ではその結論がはっきりしない。
たぶん、資料が少なすぎてはっきりと言えないのだ。
そういう部分が多い。

他にもハングルのばらし書きの話とか、ローマ字表記の方法とか、
正しい綴り方の話とか面白いテーマはたくさんあるのだが、
言語学的観点から見ると突っ込みが浅く、
歴史物語的に見るとつまらないと、ダメダメである。

そういう訳で普通の人にはちょっとお勧めできない本であった。

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