異をとなえん |

インフレが始まった(中国経済の転換点-その2)

2007.09.04 Tue

00:00:22

中国で物価が顕著に上昇を始めている。そのような情報がいろいろなサイトに出てきた。

中国は完全雇用状態でないからインフレが起こらなかったというのが、前回私の立てた仮説だった。逆に言えば、インフレが起きたという事は完全雇用状態が達成されたということである。今回の物価上昇の原因は、賃金の上昇と言えるか検証してみたい。まず、物価がどの程度上昇しているか確認する。

物価上昇し過ぎ
7月は物価が昨年に比べ5.6%上昇しているとの事である。昨年までは、一年前と比べて1%近い水準と比べると、はっきり変化している事がうかがえる。

物価上昇の主たる要因は、豚肉の上昇を始めとした食品価格の上昇である。豚肉価格の上昇は病気によるものと言われる。また、食品価格は季節により、あるいは豊作不作によってかなり変動する。現在の物価上昇もそういった季節よる要因を除けばたいした事ないのだろうか。

ホンハイ・プレシジョンがベトナムへ大型投資
ここを見ると、アメリカが中国から輸入している製品の価格も今年になってから上昇している。指数が97から98ということで、たいした事ないようだが、今までが右肩下がりだったのからすると、大きな変化である。この大きな変化の原因はやはり、賃金の上昇だろう。

中国での賃金上昇を簡単にとらえる事は難しいはずである。賃金の幅は都市と農村で10倍以上違うと思われるし、農村部では自営農中心だから賃金は表に出てこない。では、労働者への需要が供給を上回った場合、どのような現象が現れるだろうか。基本的には人手を集める事が難しくなっていくはずである。外資企業が沿岸部で人を集めにくくなっていて、内陸部に投資場所を変更する必要が出ているなどがその一つである。ただ、基本的に外資企業は中国内では相対的に高賃金と見られ、かなり調節が聞くように思われる。人手不足が顕著に現れるのは、最低の賃金で労働者を雇っている所だろう。

労働者は少しでも賃金の高い所に移動していく。中国では特にその傾向が強いらしい。もちろん、企業の必要とする人材と労働者の能力とによって、労働市場は微妙に分かれていく。しかし、企業の必要とする人材が希少な場合、それを満たす労働者は少なく全体としての市場に影響を与えない。現在、完全雇用状態になったかどうかが議論であるのだから、基本的に能力が何もいらない、つまり最低賃金で働いている市場が重要になる。

中国で最も賃金の安い所は、どこだろう。たぶん、農村部の工業だと思われる。周囲の賃金が安く、技術も低いだろうから、とにかく人手に頼って生産をしているだろう。ここで、人手不足が始まれば他のどこにいっても雇える労働者はいない。その場合、しかたがないので価格に転嫁できる企業は賃金を上昇して対応する。労働市場は均一でないから、一社があげたからと言って他の企業も上げるとはかぎらない。たまたま、従業員がちょうどやめた企業が貧乏くじを引く可能性が強い。他社の従業員を金で引き抜くような事があれば、全体としての賃金上昇になるが果たしてそこまで行っているか。

競争が厳しく、しかし、価格への転嫁がままならないような場合、企業はどう対処するだろうか。真っ当な方法を別にすれば、製品の品質を落とすというのが一番ありそうな対応方法である。中国では、それが顕著に出ていると思う。最近の爆発的に出ている中国の食品や製品の安全問題はそれが原因ではないだろうか。昔から中国の製品は品質が悪くて、現在出ているのは調査が集中しているからという理屈もありそうだが、本当にそうだろうか。食品を最初から有害物質を使って作るのは、あまりにも危険と思われる。最初は普通に作っていたのだが、競争の厳しさからやむにやまれずというのが、一番ありそうに思う。

もう一つの非合法な方法として、労働者を強制的に囲い込んでしまうというのがある。うまく行く方法とは思えないが、地方の権力者のような人間にはなんとかなると思えるかもしれない。誘拐した子供をレンガ工場で強制労働、に下衆の勘繰り。は、その一例ではないだろうか。

結論として、今回の物価上昇は賃金上昇が原因としてもおかしくない。
次回、完全雇用状態を達成し、物価上昇が始まった中国経済に何が起こるかを分析する。
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