異をとなえん |

年末アメリカの株式相場は下げているのに、なぜ日本の株式相場は高値をつけたのか?

2012.12.29 Sat

21:27:51

日本の株式市場は年末、今年の最高値10395.1をつけて終了した。
一方、アメリカの株式市場では値下がりして、ダウが1万3000ドルを割り込んできた。
年初が1万2000ドルで今年はかなり上げたけれど、「財政の崖」が現実味を帯びてきたことで下げている。
問題というか、よくわからないのは、この状況で円安が続いていることだ。
今までの経験から言うと、アメリカの景気が悪くなれば日本の景気も悪くなり、為替相場は円高に傾いた。
今回もアメリカの株式が下落すれば、当然円高株安になりそうなのにそうなっていない。
これが不思議だと思っている。

アメリカの景気が良くなると円安株高になるメカニズムは次のようなものだ。
アメリカの景気が良くなり株価が上昇すると、資金が債券市場から株式市場に流れていく。
債券の価格は下がり、つまり金利が上昇すると、日本の債券市場との金利差が拡大し、日本からアメリカに資金が流出する。
資金が流出するということは、円でドルを購入する動きであり、結果ドル高円安になる。
日本の輸出企業は円安によって利益が増え、結果株式の価格が上昇する。
日本の景気が外需頼みで、自律的に景気が変動しないことを前提として、このメカニズムが成り立っていた。

実際、解散からの日本の円安と株式価格の上昇はアメリカの株式の上昇と連動していた。
日本の株式市場の上昇をリードしたのは外国人投資家によるものと言われているから、上記のメカニズムが働いていたのだろう。

不思議なのは、年末アメリカと日本で市場が連動しなくなっていることだ。
アメリカのダウが年末連続して下げたのだから、上記のメカニズムが成り立っているのならば円高にならなくてはおかしい。
実際ダウが12月18日13500ドルから12月28日12900ドルまで下げるのに合わせて、十年物の国債の金利も1.8%から1.7%近くにまで下げている。
しかし、ドル円相場はそれにほとんど影響されることなく一方的にドル高円安になっている。
日本の国債市場はむしろ金利上昇しているので、金利差はさらに縮まっていて、短期資金が日本からアメリカに流れることは考えられない。

もちろん日本の経済が自律的に回復しつつあり、アメリカの景気に連動しなくなっている可能性もある。
年末、アメリカはアメリカの都合で株式が下がり、日本は日本の都合で株式が上がっているわけだ。
ブログで散々書いてきた日本経済の真の回復がようやく始まったのかもしれない。
しかしそうならば、外国人投資家による日本株式市場の回復もおかしい気がする。
日本に海外から資金が流入するならば、それを打ち消すだけの資金の流出がなくては円安にならない。
単純な金利差による資金の流出がなくなれば、株式投資をする資金の分だけ円高になるはずだ。
また日本の景気が本当に回復するならば、金利も上昇するだろう。
そうしたら円高にならなくてはおかしい。

そういうわけで、日米の為替相場と株式市場のメカニズムが急に説明できなくなって、不思議に思っている。
一応仮説は考えたのだが、その解説は次回に。
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続:2012年4-6月期GDP速報に期待する

2012.08.13 Mon

21:16:10

GDP速報の結果は期待はずれだった。
民間消費の実質成長率は0.1%、名目成長率は-0.3%と予想を大幅に下回った。
エコノミストによる民間消費の実質成長率はだいたい0.3%ぐらいなので、日本経済の成長がまたへこみつつある感を強く持たせる。

もっとも季節調整によるずれやうるう年効果が下方にずれを生じさせているのかもしれない。
季節調整によるずれというのは、金融危機や東日本大震災などの個別な現象が季節調整のずれを大きくしているという意味だ。
金融危機では2009年の1-3月が底となり、東日本大震災では2011年の1-3月が震災によって大きく経済規模を減少させた。
その結果次の四半期である4-6月は普通の季節以上に成長率がかさ上げされた。
だからそれらの期を含んで季節調整計算をすると、普通の季節調整による成長では伸びが低いように見られる。
うるう年効果というのは、2012年1-3月がうるう年だったのでその分成長率がかさ上げされていた。
だから相対的に4-6月期の成長率は低くなる。
逆に言うと1-3月期の成長率は通常より高く表示されたことになる。

それらを合わせると、結局のところ今回の成長率は日本経済の潜在成長率とされる年2%前後と変わっていない。
日本経済はもう少し高めの成長率を出せると考えている私にはショックな数字だ。
もっとも金融危機後の潜在成長率は年0.5%という予測から見れば、まともな数字なのだが。

民間最終消費支出の低迷の原因は何かともう少し調べてみた。
形態別国内家計最終消費支出の方を見て、いろいろと数値を見てみる。
名目の原系列から、加工した実質や季節調整済みのデータまで、いろいろと見比べているのだがよくわからない。
名目の原系列を加工するのは、見ただけではわからないことをはっきりさせるために行う。
それなのにかえってわからなくなるのは、元々のトレンドがはっきりしていないからだ。
1%ぐらいのデフレ状態や季節調整がぐちゃぐちゃになっている状態では、本当の成長率が読み取れない。

ただ民間消費の詳細を見ると、耐久財の実質の消費金額がここにきてかなりはっきりと伸びている。
金融危機を抜けてからは実質の前年同期比でだいたい10%以上だ。
金融危機後はリカバリーも含めて20%以上が5期続いたし、東日本大震災後は10%以上が続いている。
その前が実質でもたいした伸びを示していないのに比べると、ずっと良くなっている。
しかし、名目の前年同期比で見ると伸びはそれほど大きくはない。
2007年4-6月期の原系列による名目の耐久財の支出は5兆8841億円、2012年4-6月期の支出は5兆5597億円だ。
全体で見るとわずかながらマイナス傾向になっているが、実質は各々6兆6071億円と10兆3597億円なので大違いだ。
つまり、個々の商品の価格が下がっているので、いままでと同じ金額を消費していても効用は大幅に伸びている理屈だ。

バブル崩壊後、総需要が縮小している中では、消費金額は上昇せず機能品質を上昇させることで経済は成長するしかなかった。
それがここに来て、価格が下落するとその分消費量が増えているようにも見える。
季節調整済みの名目系列で民間最終消費支出の耐久消費財が1.9%、0.9%とプラスを保っている。
ただこの値がそのままプラスを続けるかはよくわからない。
それがはっきりしない成長率に現れている。

機能の向上による実質金額の上昇は耐久財に一番現れる。
半耐久財、非耐久財、サービスは機能が向上してもよくわかりにくい。
だから価格が低下すると、実質の消費も低下しているように見える。
本当はある程度の品質の向上があると思うのだが、効用の上昇は見えない。
それに対して、耐久財は性能の上昇を計算に入れることができる。
だから実質の消費は増えているわけだ。

耐久財が名目でも成長するようになれば、デフレ自体が終わり賃金が上昇することでサービスの消費金額が上昇していく。
その兆しが少し見えたような気がするGDP速報結果だった。
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2012年4-6月期GDP速報に期待する

2012.08.11 Sat

21:20:45

2012年4-6月期GDP速報が来週月曜日(8/13)の朝に公表される。
私は非常に期待している。
デフレ脱却が確定的になり、安定した巡航速度での成長が可能になるかもしれない。
注目している点は民間消費の成長率だ。

日本経済はバブル崩壊以降、名目の民間消費が全然成長していない。
実質の民間消費は伸びているのだが名目はむしろ減っている。
2002年ごろからリーマンショックの前までは名目の民間消費も増えていたのだが、それも急落して2000年ごろの値に名目は戻っている。
名目がほとんど変わらないのに実質が増えているというのは、デフレによって消費金額は同じでも手に入れる効用が増えていることになる。
耐久消費財の金額が安くなり、その分をサービスに費やしているのが日本の経済だ。
価格が安くなる商品を買うのは、ゆとりがない消費者が多くて、品質の向上などに目が向かないからだ。
そのような状況がようやく変わってきたのではないかというのが、前回のGDP速報だった。

政府統計による2012年1-3月期のGDP速報で注目するのは、まず名目季節調整系列(前期比)の表だ。
その中の民間最終消費支出が最後の2012年1-3月は1.3%伸びている。
1.3%というのは、その表にある1999年1-3月期から2012年1-3月期までの中で最大の数値だ。
他は1%以下がほとんどで、マイナスも多い。
名目で全然成長していない以上、上がれば下がるのは当然だ。
1%以上というのは、2012年1-3月期を除けば2001年1-3月期の1%と2009年4-6月期の1.1%だけだ。
2009年4-6月期は、金融危機による景気後退が1-3月に一段落し、その反動で成長率が上向いただけだし、2001年1-3月期も、その前後はマイナス成長が続く中で一時的に成長が上ぶれしただけに過ぎない。
2012年1-3月期の1.3%という成長は、その前の段階0.3%、0.9%、0.4%という成長が続いた後、伸びているだけに、本格的な消費の回復の兆しに見える。
もっともエコカー補助金による助成が消費を促進しただけで、需要を先取りしたに過ぎないという見方も多い。
だからこそ、今回の民間消費の伸び率に期待している。
この値がこの1年の平均である、0.7%ぐらいで安定して伸びるならば、デフレから脱却した成長に入ったといえるだろう。

名目で見ず実質で見ろという意見があるかもしれない。
私も最初は実質で見ていたのだが、実質は伸びていても名目で伸びていないならば、消費者の心理は変わっていない。
名目の伸びで判断した方が本当の意味での成長をとらえられると思う。

世界経済全体はユーロ危機に端を発して低迷しつつある。
日本もそれに巻き込まれつつあるようだ。
工業生産指数が4-6月期に減少に転じているのは、それが理由だろう。
だから4-6月期のGDPの伸び自体はそれほど高くないかもしれない。
しかし日本の内需自体が自立的に成長するならば、世界経済が低迷しても怖くない。
日本経済が成長することで輸入が促進されるならば、貿易赤字の拡大や海外投資の拡大で円安に振れ輸出が上昇してゆく。
輸出入は結局プラマイゼロで日本の成長と関係なくなるだろう。

金融危機前の日本の経済成長はその多くを海外の成長に頼っていた。
民間消費の伸び自体が、海外からの投資による株価や地価の上昇によって生じたと思う。
輸出の伸びは海外の需要の伸びに引っ張られたからだし、設備投資は輸出の伸びに支えられていた。
だから金融危機後、日本の経済は急落した。
結局、日本が成長軌道に戻るには自立的な成長が不可欠ということだろう。
4-6月期の成長率、そしてエコカー補助金の影響がなくなる残りの今年度の民間消費の伸びが注目だ。
エコカー補助金の影響がなくなっても、民間消費が名目プラスの成長を保つならば経済は完全に巡航軌道に乗ったと思う。
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TOPIX安値に思う

2012.06.04 Mon

20:31:27

TOPIXがバブル崩壊後の安値を更新したいうニュースが出ていた。
その原因として、円高とユーロ危機があげられている。

不思議なのは円高が株価が下がる原因として挙げられていることだ。
経常収支が黒字なのだから、日本に入ってくるお金の方が多く、それで収益が減るというのは一応理屈としては合っている。
でも貿易収支は赤字なのだから、単純な製造業はむしろ輸入する方にとっては有利なはずだ。
また日本の貿易では円建ても増えている。
アジアに進出している製造業への部品の供給は円建ての方が多い。
ドル建ては原油などの原材料の輸入が多いのだから、円高は価格下落につながり、輸入産業には有利なはずだ。

実際第一四半期は年率4%以上の成長だった。
内需中心に伸びている。
一時的という意見が多いが、そうだとしても経済が成長して輸入が増えているのは事実だ。
つまり一時的であっても円高は経済成長にプラスに働いている。
それなのになぜ株式市場は悲観的なのか。

所得収支の黒字は円高により価値を下落させているだろうけれど、日本円にいそいで変換するのでなければ実損とは言えない。
もっとも円安に戻らなければ損は損だと思うが、すぐどうこうではない。
そうすると円高は株価の下落の原因だろうか。
関係ないのではと思う。

最大の原因はユーロ危機によって外国投資家が日本の株を売っていることだ。
金に困っているところが、とにかく売っているのだろう。
円高だと損失を出さないで済む可能性が出て売りやすい。
日本の株価もとにかく金がなくて投げているところが多いならば、それが終わるまで復活は難しい。
ギリシャ、スペインの危機の解決のめどがつくまでは、見にする投資家が多いだろう。
まだまだ株価は下がりそうだ。

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ユーロ圏の危機は世界恐慌を起こすか?

2011.11.09 Wed

21:12:11

ユーロ圏からくるニュースが悪化を続けている。
ギリシャからイタリアに国家の債務問題が飛び火して、不安心理がさらに高まっている。
イタリアの10年債の金利は6%を越え、危険水域と呼ばれる7%に近づいている。
どのくらいの金利が本当に危険なのかは、よくわからないが、市場で危険と判断されてしまうと普通の状態で投資する人がいなくなってしまう。
イタリア国債も7%を越えてしまうと、誰も投資する人がいなくなってしまうだろう。
イタリア国内の金融機関だけは、政府のなんらかの制約から投資しても、イタリア国外の資金が流れてこない。
イタリアが経常収支の赤字国である以上、資金が流れてこなくなれば金利は上がるしかない。

世界恐慌の発生の危険は高まっているだろうが、状況はどうやって改善できるのだろうか。
前提として、アメリカのサブプライムローンの破綻から、世界経済全体をみたとき、資産の価格が大きく暴落していることを理解しなくてはならない。
資産の価格が下落するということは、経済全体が縮小することを余儀なくされるのだ。
サブプライムローンによる金融危機があっても、世界全体のGDPはリーマンショック前の状態に戻りつつあった。
あるいは、ほぼ戻っていた。
世界全体の総需要が減っているだろうにも関わらず、GDPが戻ったというのは、国家が政府支出によって需要を追加したからである。
けれども、国家が政府支出によって需要を追加できる国は、基本的に経常収支がプラスの国だけである。
国家は経常収支の黒字分を暗黙の保障によって、借金をすることができる。
けれども、それ以上の金額を支出する場合は普通の組織と同じである。
これはドイツも政府の負債がそれなりにあるのに、金利が他の国に比べて極端に低いことからも明らかだろう。

世界経済が縮小をせざるを得ず、世界に不均衡が存在する以上、弱い鎖の部分から切れていくのは当然のことだろう。
弱い鎖とは経常収支が赤字で国家債務の負担が大きい国である。

世界がリーマンショックのような金融機関の突発的な崩壊による経済危機を起こしたくない以上、弱い部分を補強しながらなんとか維持していくしかない。
ギリシャやイタリアのような国に対する資金援助が必要なわけだ。
けれども、金を返せなくなる以上、実行すべきことは政府支出を削減して、経済の縮小均衡を図ることだけだ。
ギリシャはリーマンショック以降ずっとGDPは縮小を続けている。
つまり、国民の所得が高すぎた。
それを均衡させるには、国民所得を大幅に引き下げるしかない。
イタリアも同じだ。
イタリアもIMFの監査を受け入れる以上、経済を縮小させて均衡を図るしかない。
それは当然全世界に広がっていく。
世界経済全体の縮小均衡が要求されるわけだ。

これは世界恐慌を招くだろうか。
楽観的観測ではあるが、私はリーマンショックのように急激な縮小は起こらないと考えている。
リーマンショックは当然存続するだろうと考えていた金融機関が崩壊することで、金融機関が互いを信頼できなくなり、金融取引がほぼ止まったことによって起こった。
金融取引が止まったことで、貿易金融も止まり、貿易も止まり、世界の全ての貿易金額が急激に縮小した。
今回はそれほどひどい事態になるとは思わない。
イタリア国債の秩序あるデフォルトが発生するような最悪の事態でも、イタリアの銀行には資金を融通して倒産だけはさせないだろう。
基本的にはECBが資金を融資することで、それはなんとかなる。
ユーロ圏自体では経常収支は均衡状態なのだから、資金の手当てもなんとかなるだろう。
基本的にはドイツの金だろうが、イタリアに直接貸し出すことは嫌ったとしても、イタリアの金融機関を支配に収める変わりに資金を出すことは受け入れるはずだ。

一応以上のような理由から、リーマンショックみたいな突発的収縮は避けられて、日本みたいなゆっくりした不況になるというのが、私の予想だ。
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はっきりない世界経済の状況

2011.07.15 Fri

05:44:29

世界の経済の先行きは、はっきりしない状況が続いている。
欧州はギリシャのデフォルト懸念が深刻化しつつある。
PIGSと呼ばれた、ポルトガル、アイスランド、ギリシャはEUに救援を要請し、最後の1国であるスペインも国債金利は上昇しつつある。
そして、PIGSの次に危ないとされてきたイタリアもスペインの後を追うように国債金利が上昇し始めた。
なんというか実に危ない感じである。

アメリカは国債の上限法案が通らない危険性から不安が増している。
そして、もっと重要な景気も雇用が伸びることなく、失業率は9.2%と悪化した。

中国も景気が減速しているという声がたかまっている。
バブル崩壊論は昔から出ているが、実際に中国と取引している企業から、少し減速しているのではないかという声が出始めた。

そんなわけで、景気の先行きは不透明になりつつあるのだけれど、それでもどうなるかを少し考えてみた。

まず、一番危険なのはEUである。
アメリカは国債の上限法案が通らない危険性はまずない。
ぎりぎりになれば、さすがに妥協する。
景気自体ははっきりしなくても、財政支出さえ続けば、底が抜けた景気の悪化はないだろう。
中国も先は見えないが、とにかく景気が本当に悪化すれば、公共投資は打てる。
他の民主主義国みたいに本当に意味のある投資かを問う声はないのだから、なんとでもなる。
最悪の場合、軍事費を大幅に増やすという選択肢もあるだろう。

そんなわけで一番危いのはEUである。
特に最終的に需要が喪失した場合、政府が財政を拡大する余地がないのが痛い。
下手をするとEUに端を発っした世界恐慌もありうる。

EUのユーロ通貨システムは、各国の政府の財政にタガをはめている。
リーマンショックに始まった金融危機の場合、各国政府は無条件に財政支出を拡大して経済危機の克服につとめた。
なんとか、経済危機は収まったが、各国に巨大な財政赤字を残した。
ソブリンリスクが大問題になっているいま、財政支出の拡大を許す雰囲気はない。
ギリシャがデフォルトを起こした場合、間違いなく流動性の危機が生じるだろう。
スペイン、イタリアの救援要請、資本不足に落ちいった銀行への対応と、必要な資金は膨大だ。
けれども、各国政府の財布には限度がある。
いったい、どうするか。

結局、EU全体で共通債を発行する形での救済しかないと思う。
ドイツはインフレの原因として反対するだろうけれど、イタリアが救援を求めるような形になれば、そうも言ってられない。
どこの国も直接負担をかぶることができないならば、共通債を発行して対処するしかない。
その負担をどう分配するかは、いろいろもめるだろうけれど、EU共通の財源を作りだすのが一つの解決法だ。
EUの共通債ならば、ECBがおおっぴらに買い支えることができる。
だから、永遠に繰替えることができるので、当面の問題はない。

欧州が底を抜ける危険に耐えられれば、世界のどこの国も底が抜ける恐慌を回避しつつ、バブル崩壊後の日本のような経済状態になるというのが私の予想である。
つまり、かんべえの不規則発言の2011年07月13日に書かれているような事態だ。

引用開始

○だったら米国と欧州はどうなるかというと、そんなに良くはならないだろうけれども、一気に悪化することも考えにくい。要は一進一退といったことになるのだろうと思います。大きなバブル崩壊後の景気回復過程においては、得てしてそういうことが起きるものです。この辺は日本の1990年代の経験が役に立ちますよね。つまり良くなったからといって油断しちゃいけない、良くならないからといってあきらめてもいけない。利上げや財政再建も、焦らずにやっていくのが吉というものです。
引用終了

底が抜ける危険は30%ぐらいありそうな気もするけれど、残り70%はちょっと悪い状態が続くと思っている。
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続:世界経済に関するスケッチ

2011.02.05 Sat

04:10:50

「世界経済に関するスケッチ」という題で、世界経済の今後を少し考えてみた。
単に頭に浮んだことをそのまま書いているので、結論も何もない出来だったが、どうも思考が先に進まなかった。
それでも考えてみたいので、また同じことをやってみる。

前回でもっとも書きたかったのは資源制約の場合の富の不均衡であったが、話はそこまでいかなかった。
今回はそこに焦点をあてて考えてみたい。

新興国の成長によって、資源の制約が経済成長の大きな足枷になりつつある。
2008年の時の商品相場の高騰は、金余りによる資金が商品相場に流れ込んだことによって起こったと言われた。
今回は新興国の成長そのものが実需を生み出しているので、簡単には収まらないと予測されている。
本当がどうかはわからないが、新興国の成長が続けば、需要が大きくなるのは当然だし、そうすれば実需による商品高騰も必然だろう。
これを前提にして、話をすすめてみよう。

資源の需要が限界を越えたことによって、資源価格が高騰する。
そうすると、富の配分が変更される。
最終製品の受取は、最終的に労働、自然資源、資本の三つの生産要素に分配される。
自然資源の価格が上昇するということは、鉱山などの持主の取り分が大きくなることであり、労働、資本の持主の取り分が減るということだ。
労働と資本の分配の取り分の変更がどうなるかは問題なのだが、とりあえず資本の取り分は変わらないで考えてみる。
そうすると、資源の取り分が上昇することは、労働の取り分が減少するのと同義になる。

今回の経済成長の源泉は新興国において、一人一人の生活が向上していること、それ自体にある。
だから、トータルで見た場合、労働者の取り分の比率が減少したとしても、生活それ自体は向上している。
しかし、それは十分成長しているだけの国だ。
中国みたいに高い比率で成長し、賃金が上昇し始めているならば、生活は変わらないかもしれない。
しかし、それほど高い成長を達成していない国では、労働の取り分が減少すれば、労働者の生活水準自体が低下する。
はっきりと断定はできないが、今回のエジプトはその例かもしれない。

資源の持主は大きく儲かり、労働者はあまり変わらないか、あるいは生活水準が低下する。
そうすると全体としての消費はどうなるか。
労働者の消費はあまり変わらないとすると、消費=生産だから経済の成長は資源の持主の消費が決定することになる。
儲かっているんだから、基本消費は増えるだろう。
しかし、資源制約は存在するのだから、どこかで成長はストップする。
これは総体としての労働者の生活水準が止まったところだ。
働いても全然生活水準が上昇しなければ、労働者は労働の拒否を開始する。
もちろん、個々の国で限界に突き当たる時期は別々だ。
エジプトが今だとしても、他の国は違うのかもしれない。
エジプトみたいに騒乱を起こし、成長自体が停止すれば、他の国は資源の制約がゆるむ可能性もあるが、その場合はさらに成長することによって、結局余裕が食い潰してしまう。
つまり、他の国も段々と成長を停止するだろう。

新興国ではインフレ気味だ。
成長を停止するならば、インフレの中、労働者の賃金上昇が追いつかない形で発生する。
急激なインフレは不満を誘いやすいし、生活水準が低い国では生死に関係してくる。
そういう弱い国では騒乱も起こりやすくなる。
経済を引き締め、成長を止め、インフレを止めたとしても、世界で成長をし続ける国があれば、輸入価格を通して生活水準の低下が発生する。
それはやはり社会の混乱を招くだろう。
結局、資源制約が簡単に解決できないならば、どこかの時点で経済は急激に成長を止め、屈折せざるを得ないのではないだろうか。

なんか、つまらない結論になってしまった。
もう少し面白い話にならないかと思ったのだが、難しい。
屈折点の時期とか、あるいは屈折点の時の経済の規模とかが推測できないと、空理空論でしかないが、そこまで思索が及ばない。
もう少し考えてみよう。
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